オープンRANは第二幕へ! 次のターゲットは仮想化と自律運用

5G商用ネットワークにおいて、RAN(無線アクセスネットワーク)のオープン化を世界に先駆けて実現したNTTドコモ。このオープンRAN推進の取り組みは、AT&Tやドイツテレコム等と共に2018年2月に設立した業界団体「O-RAN Alliance」を起点として、今や世界中の通信事業者やベンダーを巻き込む動きへ広がっている。

O-RAN AllianceはRANのマルチベンダー構成を実現するための標準仕様を策定しており、現在28の通信事業者が参画、ベンダーや学術機関等も含めたメンバーの総数は260を超える(2020年2月10日時点)。O-RAN仕様準拠の基地局を商用展開しているのはまだドコモのみだが、KDDIやソフトバンク、そして海外の事業者も導入へ動き始めている。

オープンRAN商用化・進化の歩み携帯電話ネットワークのオープン化はLTE時代にコアネットワーク(EPC)の領域からスタートした。ネットワーク仮想化(NFV:Network Functions Virtualization)の導入だ。ドコモはこれを積極的に進め、仮想化基盤とEPCソフトウェア、管理システムにそれぞれ異なるベンダーの製品を使うマルチベンダー構成のLTEコアを2015年度から運用開始。従来のシングルベンダー構成からのマイグレーションを進めてきている。

一方、RANは、仮想化もオープン化もまだ走り始めたばかりだ。

オープンRANは、図表1の2つの要素で捉えることができる。先行しているのが、①RANを構成する装置間インターフェースのオープン化だ。

図表1 オープンRANの2大要素

図表1 オープンRANの2大要素

5G RANはアンテナ部の子局(Radio Unit:RU)と、それを収容する親局(制御部。Central Unit:CU、Distributed Unit:DU)で構成される。O-RANは2019年2月に親局・子局間(フロントホール)のインターフェース仕様を規定。ドコモはこれを用いて、2019年9月の5Gプレサービス時点からマルチベンダーRANを実践した。その後、商用ネットワークの基地局にもすべてO-RAN仕様を採用してきている。

2020年9月には、基地局装置のラインナップを拡大した。NECとサムスン電子の共同開発による5G親局と他ベンダーの5G子局を接続。4G基地局との間でもマルチベンダー接続を実現した(図表2)。

図表2 マルチベンダーRANの構成イメージ

図表2 マルチベンダーRANの構成イメージ

同時期に、マルチベンダーRANにおいて3.7GHz帯と4.5GHz帯の5G周波数のキャリアアグリゲーションにも成功した。NEC・富士通と共同で行ったもので、2020年12月には商用サービスにも適用し、下り最大4.2Gbpsを実現している。

なお、現時点ではNEC、富士通、サムスンの3社で十数種類の装置を商用網で使用しているという。

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