5Gアクセス・エッジに「第3の選択肢を」 新興リボンが仕掛けるIP/光網の変革

5Gの展開が世界中で加速するなか、通信キャリアのインフラ構築・運用手法が様変わりしようとしている。仮想化や自動化等の新技術導入に伴い、オープン化/マルチベンダー化のニーズも顕在化。柔軟性と経済性に優れたネットワークをどう実現するかという観点から、通信キャリアは幅広いベンダーのソリューションに目を向け始めた。

この波に乗り、キャリアインフラ市場に新規参入するベンダーも増えている。2020年にIP/光伝送システムのECI Telecomを買収したリボン・コミュニケーションズ(以下、リボン)もその1社だ。買収前からECIが豊富な実績を持っていた欧州やインド・太平洋地域に加えて、北米や日本でのビジネス展開を本格化させている。

キャリアインフラ市場は既存ベンダーによる寡占状態が続いてきており、新規参入は容易ではない。「最初は厳しいと思っていた」と、IP Optical Networks部 部長の宮下泰彦氏は2年前を振り返るが、予想に反して「お客様は参入をすごく喜ばれた。プレイヤーが固定化していて活発な競争が起きていなかったからだ」。キャリアインフラが変革期を迎えていることもあり、「提案のチャンスも多い。我々の価格競争力も高く評価していただいている」と、同氏は話す。

海外では5Gインフラに深く食い込んでおり、実績が豊富なインドでは、加入者4億超の最大手Bharti Airtelがリボンの光/IP製品を採用している。

 

リボン・コミュニケーションズ IP Optical Networks部 部長 宮下泰彦氏
リボン・コミュニケーションズ IP Optical Networks部 部長 宮下泰彦氏

5G時代のマルチアクセスを提案 TDMを効率的に統合運用そのリボンが提供するソリューションには図表1の3カテゴリーがある。光伝送システム「Apollo」、IPルーティング「Neptune」、それらを運用管理するSDNコントローラ「Muse」だ。

 

図表1 リボン・コミュニケーションズのポートフォリオ

図表1 リボン・コミュニケーションズのポートフォリオ

 

海外ではこれらを組み合わせて「4Gよりも格段に容量が増え、かつ精緻なクロックやネットワークの柔軟性が求められる5G xhaulを構築する例が出てきている」(宮下氏)。伝送能力・容量やコストパフォーマンスの高さに加えて、通信キャリアの悩みどころを突くソリューション提供によって支持を広げている。

一例が「Neptune Multi access Edge」だ。様々なアクセス技術・手段を効率的に収容するソリューションである。4G/5G RANや光アクセス用のPON、SONET/SDHといった様々なアクセス方式をNeptuneのアクセス・エッジルーターに集約・統合し、コスト効率を高める。特に日本市場では「TDM Evolution」と呼ぶ機能への関心が高い。「T1(1.5Mbps)やE1(2Mbps)、数百MbpsのTDMインターフェースがまだ多く使われているが、更新しようにも適した製品がない。リボンのMulti access Edgeなら、コスト効率の良いかたちでTDMを延命できる」ためだ。これで延命を図りつつ、段階的にアクセス網全体をマイグレーションしていくことが可能になる。

Neptuneはアクセスからコアまでカバーする広範なラインナップを揃えており、5Gで要求される高精度な時刻同期、ネットワークスライシングに活用できるFlex Ethernet(FlexE)にも対応する。MPLS-TP、IP-MPLS、Segment Routingなど多彩なプロトコルをサポートしていることも採用が増えている理由だという。

さらなるラインナップ拡充も計画しており、2022年は新世代シリーズの提供を開始する。1RUで800G、2RUで2.4T、3RUで3Tと容量を拡張。さらに、「ディスアグリゲーションのニーズにも応えるため、ホワイトボックス向けのDisaggregated NOSも準備している」。オープンソースOSのSONiCをベースに、キャリアグレードのNOSを2023年に提供開始する計画だ。

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