既存3事業者から5MHzずつ再割当――。
8月末に行われた第10回会合で、楽天モバイルの矢澤俊介社長がこう主張した「プラチナバンドの再割当」。それ以降、「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース」では、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの既存3社と楽天モバイルとの間で激しい議論が繰り返された。
焦点は、再割当に伴う移行期間と、基地局設備の交換作業等にかかる費用負担だ。
楽天モバイルが「1年以内の利用開始」を要求する一方、既存3社は10年程度の移行期間が必要と主張。移行費用についても、既存事業者が負担すべきとする楽天モバイルと、新規事業者の負担が適当とする既存3社が真っ向から対立した。
そうしたなか、第12回会合で矢澤社長が「段階的な移行」を目指す妥協案を提示(参考記事:楽天がプラチナバンドの1年以内の利用開始を要望「3社から5MHzずつ再割当」)。費用負担についても、既存3社が移行に必須と主張するレピータや周波数フィルターの必要性が議論された(参考記事:プラチナバンド再割当問題、移行時の基地局改修で楽天と既存3社が議論)。
このように紛糾したプラチナバンド再割当だが、11月8日に行われた第15回会合で報告書(案)が取りまとめられた。上記の論点について方針が示され、タスクフォース構成員からも大きな異論は出ないまま会合は終了。今後、意見募集の手続きへと移る。
報告書(案)は移行期間および移行費用と負担についての基本的な考え方を示すとともに、今回、楽天モバイルから「競願の申出」があったプラチナバンドの移行に関して、特に項目を分けて考え方を示す「二段構成」(事務局)となっている。
移行期間については、再割当の時点から5年間を「標準的な移行期間」としたうえで、計画的に移行を実施しても5年以内に完了する見込みがなく、既存免許人の利用者へ悪影響が生ずる場合は、それを超えることもやむなしとする考え方を示した。移行期間は最大10年である。
ただし、標準的な移行期間を超える場合でも、既存免許人は周波数の使用停止作業を順次行い、無線局を漸減させていくことになる。再割当を受けた新規認定開設者は移行作業が完了したエリアから順次、基地局を開設。これにより「段階的な移行」を進める。