総務省は2023年2月28日、割当方式検討タスクフォース(TF)の第1回会合を開催した。
同TFは、新たな携帯電話用周波数の割当方式に関する検討会において昨年、条件付きオークションの導入という方向性が示されたのを受けて、デジタル変革時代の電波政策懇談会 5Gビジネスデザインワーキンググループ(WG)の配下に新設された。
2025年度末までに5G用として新規に割り当てる4.9GHz帯、26GHz帯、40GHz帯での条件付きオークションの導入に向けて、条件付きオークションの制度設計や実施方法などを検討するのが同TFの目的だ。
第1回会合では、NTTドコモとKDDIへのヒアリングが実施され、それぞれ要望を述べた。
割当周波数の十分な確保、特定事業者に周波数が集中しないための周波数キャップの適用、高騰防止のための競り上げラウンド制限など、NTTドコモとKDDIの主張には共通点が多いが、意見が分かれたのが「割当単位」についてである。
NTTドコモが「全国」を要望したのに対し、KDDIは市区町村単位などの都道府県より細かい単位での割当を希望した。
NTTドコモが、全国での割当が望ましいとするのは、ミリ波のような高い周波数帯は、「ニーズと一体になって、必要な場所に、必要な時にエリア展開する必要があるから」(NTTドコモ 常務執行役員 山﨑拓氏)だという。
例えば、市区町村単位での割当だと、ある地域で災害が起きた場合、柔軟に対応できないが、全国バンドとして割り当てられれば、同社の可搬型基地局「キャリー5G」などにより、迅速にエリア化できる。
災害時だけではない。イベント等、一時的に高トラフィックが発生する場所・時間に、基地局を臨時設置するにも全国バンドのほうがニーズに応えやすい。
一方、KDDIが市区町村等のブロック単位での割当を主張した理由の1つは、落札額の高騰防止だ。実際に使用するエリアのみ落札することで、費用を抑えられるという考え方である。
ただ、市区町村単位での割当には問題もある。干渉の発生だ。隣接したエリアの同一周波数を別々の事業者が落札すると干渉が起こってしまう。
そこで、KDDI 執行役員 技術統括本部 技術戦略本部長の前田大輔氏が提案したのが、下のスライド右の「新たな割当て方法」である。
ブロック単位で落札できるが、事業者ごとに利用する周波数は定めてしまう。
確かに干渉は回避できるが、構成員の1人からは「結局、全国単位で周波数をもらうのと同じになる」との指摘もあった。