昨年末の無線仕様(5G NR)の策定を機に、5Gの商用展開に向けた動きが加速してきた。日本、韓国、米国、中国などが、2019~2020年のサービス開始を目指しているが、中でも意欲的なのが中国だ。2020年までに5Gに約5兆円を投資すると報じられている。
この中国の5G展開には、大きな特徴がある。当初から5Gだけで単独運用できるスタンドアロン(SA)型と呼ばれる網形態を採用することだ。
NTTドコモをはじめ、通信事業者の多くは、すでに整備されている4Gのエリア内で5Gを展開し、通信制御を4Gの無線・コアネットワークに委ねて一体運用する「ノンスタンドアロン(NSA)型」の採用を計画している。初期投資を抑えられ、伝搬特性が不安定なミリ波で5Gを運用した場合にも安定した通信が期待できるという利点があるからだ。
これに対し、中国が採用するSA型は、5GNRの基地局を5Gのコアネットワーク(5GC)に収容する形となる。5GCの技術仕様は、3GPPで今年6月に策定される見込みだが、中国が推進する「サービスベースアーキテクチャ」に基づく案が有力視されている。1月にはチャイナモバイルとファーウェイが、このサービスベースアーキテクチャ仕様の5GCの実証実験に成功したと発表した。
図表1 5GCの特徴
SA型の場合、コアネットワークの新設や面的なエリアの構築が必要となるため、初期投資はある程度大きくならざるを得ない。にもかかわらず、SA型を採用するメリットは、どこにあるのか――。