エリクソン・ジャパン 代表取締役社長の野崎哲氏によれば、現在、世界中で122の5G商用ネットワークが稼働している。
人口普及率は現時点で7%と、まだ普及は始まったばかりだが、特筆すべき点としては「データ量が非常に増加している」ことが挙げられるという。韓国では、5G加入者の月間データ消費量が27GBと、4Gユーザーの2倍超に達した。「全トラフィックに占める5Gの割合は32%と、3分の1が5Gになっている」。
世界の5Gの現状について説明するエリクソン・ジャパンの野崎哲社長
こうした状況の中、エリクソンは36カ国・70の5Gネットワーク運用に関わっている。そのうち、5Gコアネットワークと5G NR(New Radio)のみで運用する「SA方式」に移行したキャリアは3社。世界初のSAを商用開始した「米Tモバイルと中国の2キャリアがすでにSAに移行した。韓国でももうすぐ始まる」と野崎氏は話した。
世界中のほとんどのキャリアは現在、基地局とスマートフォンの間で制御信号をやり取りするためのアンカーとしてLTEを用いる「NSA方式」で5Gサービスを提供している。日本国内のキャリアも同様だが、「2021年から2022年にかけて国内でもSAに移行していくと考えている」(同氏)。
5G SAへの移行とともに、野崎氏がもう1つのポイントとして挙げたのが「ESS(エリクソン・スペクトラムシェアリング」の採用だ。
北米、韓国、スイスなどでESSをはじめ先進技術の導入が進んでいる
これは、同一の周波数をLTEと5Gでシェアするものだ。日本を含め世界各国で、LTE用の周波数帯を5G NRでも使えるようにするための制度整備が進んでおり、その場合に、LTEと5Gの双方のユーザーを効率的に収容できるようにすることを目的としている。
一般的にはDSS(ダイナミック・スペクトラムシェアリング)と呼ばる仕組みであるが、ここではエリクソンが提供する技術・ソリューション名としてESSと呼んでいる。