物流の2024年問題解決へIoTで「自主荷役」可視化、三菱ロジらが実証成果を発表

三菱ロジスネクスト、島津製作所、NTTデータの3社は、2022年8月から経済産業省が実施する令和4年度「物流MaaSの実現に向けた研究開発・実証事業」実施団体として、各種センサーなどを用いた荷役作業の可視化に取り組み、実用化に向け一定の成果を得られたと発表した。

本プロジェクトは、トラック積卸しを中心とした荷役作業を対象に、トラック、フォークリフト、ドライバーに装着した各種デバイスで得られたデータを収集・分析し、「ドライバーの負荷状況」や「貨物の積載状況」を可視化して(下図表)、運行品質改善への道筋を検証するもの。労働人口減少や物流の2024年問題対応などによりトラックドライバー不足が深刻化するなか、「自主荷役」と呼ばれるドライバーによる積卸し作業の改善と、その為に必要な荷役作業の実態を把握。将来の商用車の自動運転や自動荷役の実現に向けた類型化、標準化推進に役立てるのが狙いだ。

IoTセンサー等による荷役作業の可視化イメージ

IoTセンサー等による荷役作業の可視化イメージ

三菱ロジスネクストは実証事業全体の取りまとめとフォークリフト挙動データの取得・分析、島津製作所は独自開発の油圧IoTユニット(製品化未定)によるトラックおよびフォーク荷役機構の油圧データ取得・分析を担当。NTTデータは、フォークリフト荷重計画像データ取得・分析、ドライバー行動センシングモデル構築を担当した。

車両からは、位置情報や作業の開始・終了時刻、圧力・回転数のデータを収集し、集配先やウイング開閉回数・時間等を可視化。「集配先での荷役の概要把握に目途付け」「車両の使用状況による部品交換時期予測(一部部品)」を成果として挙げている。

また、ドライバーの負荷状況に関しては、心拍数や速度・時刻、加速度・姿勢のデータを取得することで、「荷役」「運転」「休憩」の状態を識別。心拍数による負荷状況も可視化した。90%以上の識別率を確認し、高負荷作業の特定も可能になった。

ウエアラブル端末による作業可視化のイメージ

ウエアラブル端末による作業可視化のイメージ

従来はドライバーの自主申告に依存していた荷役作業の可視化を通じて、集配先と協同での作業環境改善やルート変更などのドライバー負荷軽減、過積載の防止、車両の突発故障の未然防止による円滑な集配業務の実現などの効果が見込まれるという。

また、将来的に積荷情報とのデータ連携が進めば、着荷主側での作業効率改善やマッチングによる積載効率の向上につながる。今回の実証により得られた知見を活かし、今後、可視化の深耕とトラックデータとの連携を進め、早期の社会実装を目指すとしている。

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