太陽生命保険とNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は2024年4月30日、生成AIを活用したDe-Identification社のAIアバターによる生命保険募集の実証実験を本年1月~3月にかけて実施したと発表した。
最新技術を活用した新たな営業手法の実現が目的で、実証実験の内容は以下の2種類。
・D-ID社のアバターを用いたAIアバターの外観や動作の評価
・大規模言語モデルによるシナリオを組み込んだ対話内容の評価
実証実験は3カ月間にわたり、下記の観点から検証を行った。
(1)生成AIによる対話精度の検証
生成AIを活用することで、顧客と生命保険募集に関する会話応対を実施できるか、また募集に必要となる情報を収集できるか検証を行った。具体的には、保険営業における対話シナリオやFAQを作成し、生成AIのプロンプトに組み込んで営業現場での対話(主に情報収集プロセスやニーズ喚起)を想定した対話モデルを構築。そして、提案内容を作成するにあたり対話モデルが必須事項をヒアリングできたか、対話の精度、応答速度などにつき評価を実施した。その結果、将来の商用利用を想定した、より具体的な検討に進めるとの結論に至った。
(2)生成AIによるアバターイメージの検証
AIアバターが人間の様に動作し、顧客に対して自然かつ印象良く発話、応対ができるか検証を行った。具体的にはD-ID社の生成AI「Creative Reality Studio」を活用し、実在の社員を元にした動画アバターを生成、外観や動作などを評価した。その結果、人間としての自然な動作、応答速度などにおいて、実業務における顧客接点として同アバターを活用できる可能性があるとの結論に至った。
今回の検証においては、最新技術を活用した新たな営業手法の実現に向けて一定の成果は得られたものの、AIアバターの反応速度や悪意のある問いかけに対する反応、ハルシネーション(生成AIが事実に基づかなかったり、事実に反する回答を生成してしまうこと)などの対策についてはさらなる検討が必要であるとの結論に至ったという。
太陽生命は、今回の実証実験の結果を踏まえ、引き続き最新技術を活用した新たな営業手法を検討していく予定だ。