新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、われわれの働き方はがらっと変化した。コロナの蔓延以前から「働き方改革」が言われていたが、感染防止を目的に半ば強制的に、業務効率を求めて人が密に集まっていたオフィスワークを避け、テレワークへの移行が進んだともいえる。
一足早く、2000年代半ばから遠隔会議ツールやMicrosoft 365(旧Office 365)のようなクラウドサービスを導入し、テレワーク環境を徐々に整備してきたヤマハでも、「マーケティングGは浜松と東京で1つのチームを組んでテレワークできているように思っていましたが、実はそれほどできていませんでした。コロナを機に、社内の会議も商談も遠隔会議で行い、チャットやメッセンジャーを用いてコミュニケーションする働き方が、当たり前のようにできるようになりました」と、コミュニケーション事業部の平野尚志氏は語る。
ヤマハ コミュニケーション事業部マーケティング セールス部 マーケティングG 平野尚志氏
実際に体験してみると、テレワークのメリットもデメリットも見えてくる。オンとオフをうまく使い分けて自分の時間を有効に活用でき、特に出産・育児との両立が容易になった一方で、仕事とプライベートの切り分けが難しいという声もある。また対面でのコミュニケーションとは異なり、雑談を通じて伝わっていた雰囲気やニュアンスが共有しにくいといった課題も見えてきた。これは、テレワークを好むと好まざるとに関わらず多くの人が体感しているところではないだろうか。
この先、新型コロナウイルスの影響がどこまで続くかは不透明だ。メリットもデメリットも体験し、選択肢が増えてきたからこそ、「オフィスワークだけでもなければテレワークだけというわけでもない、ハイブリッド型ワークスタイル、つまり両方を上手に使い分けていく働き方が求められるのではないだろうか」(平野氏)
オフィスでの三密体制回避に必要 ニューノーマルのNWインフラ緊急事態宣言とともに、テレワークに必要な自宅のネットワーク環境をビジネス品質にしたいというニーズが顕在化し、ヤマハでは「テレワーク相談窓口」を設けてさまざまな悩みに答えてきた。そして緊急事態宣言が解除となり、徐々にオフィスに人が戻ってくると、今度はまた新たな悩みが浮上してきたという。
それは「オフィスでの三密体制をどうにかしたい」という声だ。執務エリアでもソーシャルディスタンスを保ったまま業務を継続するには、これまでのように机を並べて働く環境からフリーアドレスへの移行が望ましいと考える企業が増えている。また、リモート会議の増加により、会議室エリアの増強も不可欠だ。将来的には、オフィスのレイアウト変更や引っ越しも視野に入れて検討していく必要があるかもしれない。
いずれにせよ職場のファシリティーやネットワークは、一つの場所に多くの人を集めて効率よく管理していく方法から、場所にとらわれない働き方を支えるものへと変化していくことは間違いない。自ずと管理の仕方も変わるし、ネットワークインフラという側面では「通信の安定性」「情報セキュリティ」「ネットワーク管理」という3つのポイントを抑えながらベースラインを上げていく必要がある。