私は、5Gの普及とBeyond 5Gの研究開発を促進するXGモバイル推進フォーラム(XGMF)「推し活×5G(ミリ波・ローカル5G)」プロジェクトでリーダーを務めている。本サイトの記事「 ミリ波推進のエンジンは『推し活』 非日常・人口密集・アップリンクの3要素に着目」でその活動の一端が紹介されているが、本連載の開始にあたって、より“現場感”のある話をお届けする。
私は日常的に、駅前や住宅街、ビル街といった日常シーンからイベント会場など非日常の場まで、4G/5G通信環境の調査を行い、「ミリ波で面白いことができないか」を探し続けている。中でも、2025年4月に開幕した大阪・関西万博は、ミリ波を身近に感じてもらう絶好のフィールドだ。
大阪・関西万博では、NTTドコモ/KDDI(au)/ソフトバンクの3キャリアがミリ波基地局を展開している。その現場ではミリ波がどのように運用されており、どんな通信体験が可能なのか。本稿では「ミリ波 in 万博」をテーマに、その現状を紹介する。
“ミリ波推し”の私にとって嬉しいことに、日本の4キャリアはいずれも公式のエリアマップ上でミリ波スポットを公開している。大阪・関西万博会場では基地局の屋外設置が多いため、地図上のアイコンからおおよその配置を事前に把握することができる。なお、NTTドコモのみがイベント会場内等の屋内のミリ波スポットもエリアマップで公開しているが、他3キャリアは現状、屋内スポットをエリアマップ上で公開していない。
図表1は、2025年5月末時点のエリアマップだ。各キャリアを比較すると、次の傾向が見える。
・ 楽天モバイルのみ、ミリ波スポットがない
・ ドコモ/KDDI(au)/ソフトバンクのミリ波スポットの配置は似通っている
細かく見ると、同じ場所でもキャリアごとに設置の有無が異なるケースもあるが、おおまかな位置は共通している。その理由は、現場に足を運ぶと見えてくる。