【連載】ミリ波のチカラ -超高速通信がもたらす新しい体験- の目次はこちら
従来の無線ネットワーク設計では、平面上でのエリア表示が主流であった。ユーザーがスマートフォンなどを手に持った際の高さである地上1.5m程度を想定した解析で十分とされ、基地局カバレッジは2Dマップ上にその結果が示されることが一般的だ。
しかし、5Gミリ波の利用場面を想定すると、この手法では本質を捉えられない。FWA(固定無線アクセス)や監視・セキュリティ設備、交通インフラなどの利用シーンでは、建造物の屋上や壁面、橋梁の上など多様な高さ・角度で電波を送出・受信することが想定される。反射や回折を伴う電波の振る舞いは立体的であり、単純な平面評価では過小評価につながる。
また、LOS(Line of Sight:見通し内)とNLOS(Non Line of Sight:見通し外)の判定は、3次元的な視点が欠かせない。2D上で見通しがないように見えても、屋上や高層階からは明確なLOSが得られる場合がある。
そこで、3次元シミュレーションを実施してみた。
3次元構造物としてLiDAR(Light Detection and Ranging)で取得した高密度点群データを活用した。これらは建物形状や高さを忠実に再現でき、都市スケールでの精緻な電波解析に適している。
LiDAR 点群のサンプルを図表1に示す。今回のLiDAR取得には、バイトム社製MK3を、3Dシミュレーションはモティーブリサーチ社製Cloudman Airを用いた。合わせて、国土交通省が提供するPLATEAU 3D都市モデルデータを用いて、LiDARデータが不足するエリアを補完した。
図表1 東京さくらトラム早稲田駅エリアのLiDAR点群データとLiDAR取得機器
