少子高齢化等による人手不足、窓口業務の多様化・複雑化など多くの課題を抱える地方自治体において、デジタル技術の活用は喫緊の課題だ。
政府も、中央官庁・自治体が共同利用するガバメントクラウドの構築などでその取り組みを支援しているが、人的資源や財源、専門知識の不足等により、多くの自治体にとってデジタル化のハードルは高い。
この課題を解消し、自治体業務のスマート化に向けて協業することを発表したのが、NTT西日本と日本マイクロソフトだ。両社は2023年5月22日に記者説明会を開催。NTT西日本の森林正彰社長は、「それぞれの強みを活かして自治体の課題に対応していく」と意気込みを述べた。
具体的に取り組むポイントは4つある。森林社長は下図表のような「自治体業務デジタル化のあるべき姿」を提示したうえで、「現状では4つの課題がある」(図中の黄色の部分)と指摘。それぞれについて、NTT西日本と日本マイクロソフト、さらに各自治体の地元ITベンダーとも協力して課題解決に取り組むとした。
1つめは、自治体業務のクラウド化だ。
ガバメントクラウドでは20業務を対象に自治体情報システムが標準化されるが、「この標準化20業務はいいとしても、それ以外の業務について、どこまでの業務をどのようにクラウド化すればよいのか最適な構成がわからない」と森林氏は指摘。これに対して、NTT西日本が各自治体のシステム・業務状況に合わせてクラウド化を支援する。
例えば、ガバメントクラウドで対応できない部分については、NTT西日本が提供する「地域創生クラウドで対応する」(同氏)。地域創生クラウドは、NTT西日本のデータセンターにMicrosoft Azure技術による基盤インフラを配備したもので、こうした従来からの両社のパートナーシップをベースに両社で自治体システムのクラウド化を推進する。