ネットワーク監視ツールを選ぶポイントはコストと機能──プログレス・ソフトウェア・ジャパンが2023年8月、こんな調査結果を発表した(図表1)。
ネットワーク監視ツールを実際に運用する企業のIT担当者100名を対象にして行われたもので、現場レベルの実態に関する調査は珍しい。同社日本事業統括の市原裕行氏は、「ネットワーク監視ツールの導入の背景をオープンにし、まだ導入していない企業の後押しをしたいと思った」と調査の狙いを説明する。
アンケートは全9問からなり、ツールの導入や運用に際して感じた苦労についても質問している。導入に関しては、インストールやセットアップの難しさ、導入スケジュールの遅れが上位に挙げられ、運用においては専門人材の不足、膨大な予算や手間といった、企業内リソースに関する回答が多く見られる。
ネットワーク監視ツールの世界では、ZabbixやNagiosといったOSS(Open Source Software)が広く利用されてきた。OSSは基本的に無料なので導入コストを抑えることができ、プラグインやアドオンによる拡張性の高さも特徴だ。その一方で、導入のためにはサーバーにミドルウェアをインストールしたり、処理のためのスクリプトを書いたりなど、その導入・運用には一定の知識が必要となる。
規模の比較的小さな企業にとってはハードルが高く、監視の必要性は認識しつつ、これを理由に足踏みをしていたIT担当者も多かったと思われる。
しかし近年、企業ネットワークは巨大化・複雑化している。かつては、オンプレミス環境にある数十台の機器を業務時間内のみ監視していれば事足りていた企業等でも、24時間365日の絶え間ない監視が求められ、規模は数千台に上ることも珍しくなくなった。さらには機器の役割に応じた個別の項目を監視する必要もある(図表2)。
さらにコロナ禍以降のクラウド/SaaS利用の拡大により、ネットワークの不具合が業務に与える影響は、ますます大きくなった。
ネットワーク監視ツールに頼らなければ、業務に支障を来たす状況に直面していると言える。