IDC Japanは2024年10月15日、国内ITインフラストラクチャサービス市場予測を発表した。
ITインフラストラクチャサービスとは、企業などが利用するサーバーやストレージ、ネットワークなどのITインフラストラクチャに関するコンサルティングや設計、構築、運用・保守サービスを指す。
IDC Japanの市場予測によると、2023年の同市場は2兆699億円だったが、2028年には2兆4619億円に到達し、2023年から2028年の年間平均成長率(CAGR)は3.5%で推移する見込みだ。
エンタープライズ(官公庁、金融、製造、流通などの産業分野)では、ユーザー組織が個別にITインフラストラクチャ製品を導入するよりも、クラウドサービス上で提供されるインフラ機能を利用することが増えているという。これは、クラウドサービスを利用することでインフラコストを抑えることが出来るためだ。
他方で、サービスプロバイダー(コンテンツ配信、ソーシャルメディア、ゲーム、各種オンラインサービス、インターネットサービスなど)では、ユーザー数の拡大に応じるためにITインフラの規模を増加させており、インフラ支出は拡大しているという。その結果、エンタープライズ向け市場のCAGR(2023~2028年)は1.4%であるのに対して、サービスプロバイダー向け市場では11.3%で拡大するものとIDC Japanは予測している。
さらに生成AIの利用に関心が高まり、AIサーバーの導入が進んでいる。AIサーバーは一般的なサーバーよりも消費電力や発熱量が大きく、高速なサーバー間通信を必要とするなどのAI特有のインフラ設計が必要となる。「現時点で、AIサーバー導入が市場の成長率を大きく押し上げる可能性は低いが、今後AIサーバーやクラウドサービスといった異なる複数のITインフラが混在するようになると、運用の複雑性が課題となる」とIDC Japan Software & Services リサーチマネージャーの伊藤未明氏は分析している。