国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)のブースでは、5Gの次の通信規格であるBeyond 5Gに関する様々な取り組みを紹介している。
その1つが、検証環境(テストベッド)の運用だ。
Beyone 5G時代の高度化・多様化したサービス・システムの研究開発・技術実証を推進する目的から、NICTでは「高信頼・高可塑B5G/IoTテストベッド」を提供している。
ネットワーク、ミドルウェア、プラットフォームの各レイヤの連携により、エミュレーションやデータ利活用など多様な技術要素に対応した実証環境を用意する。例えばネットワークレイヤでは、複数のモバイル拠点において、DUやCU、5Gコアのソフトウェア実証環境を提供している。
Beyond 5G時代に向けては、空や海における通信も重要な役割を果たす。なかでも海中は、電波利用における「最後のフロンティア」といわれる。
海を含めた水域での通信や測位、テレメトリ手段は現状、音響に限定されているが、音響以外の手段により、これまで不可能だった海洋環境調査が実現できるとして、最近は海中で電波や光を用いた無線通信や測位技術への期待が高まっているという。
NICTでは、電波を活用した海中ワイヤレス伝送技術の研究開発に取り組んでおり、海氷下の海中ロボットとの通信・測位や船舶用プロペラの運行モニタリングなどへの利活用を想定している。
一方、空については、ドローンや有人ヘリなどの間で、920MHzや2.4GHzなど複数の周波数で機体間通信システムを用いた位置情報共有技術(ドローンマッパー技術)を開発中だ。
ドローンの普及が進むと、複数の機体が同時に飛行するようになるが、同技術の活用により、地上のオペレーターを介さずドローン同士が直接通信を行い、自律的に接近を回避したり、自動的に先導機を追従し群飛行するシステムの開発に取り組んでいる。
ブースでは、Beyond 5G時代の2030年頃の新たな社会を映像やVRで体験することも可能だ。
例えば、分身アバターを使って自宅にいながらスーパーマーケットで買い物ができるだけでなく、異なる産業や様々な人々を連携させる「オーケストレータ」が行うマッチングにより、漁師から直接魚を購入することで、珍しい魚を入手できるサービスやフードロスを削減できる様子を体感することができる。