光トランシーバーはこれまで、いくつものフォームファクターが生まれては淘汰されてきました。絶えず高速化、小型化、低消費電力化のため技術革新を続けてきたわけです。まず、そんな光トランシーバーの変遷について見てみましょう。
光トランシーバーの変遷図表1は光トランシーバーの変遷を示したものです。
図表1 光トランシーバーの変遷
Windows 95が発売された1995年に、初めて1GbE(ギガビット・イーサネット)で活線挿抜(第1回参照)タイプのGBIC(Gigabit Interface Converter)が規格化され、広く採用光伝送ネットワークを構成する各種コンポーネントのうち、最も進化が著しい領域の1つが光トランシーバーモジュールだ。その進化の過程で多種多様な規格が生み出されてきた。
2001年には1GbEの主流となる「SFP」(Small Form Factor Pluggable)が規格化されました。既存のSCコネクタより小型のLCコネクタを採用したことで、劇的な小型化を実現しました。
その後、10GbEのスピードに対応した「SFP+」が規格化され、先行していたXFPを置き換えるかたちとなりました。現在のデータセンターでは25GbEのスピードに対応した「SFP28」が規格化され、1G、10G、そして25GではSFPタイプが主流となっています。
一方、さらなる高速化に向けて100G化の議論が2006年から始まりました。10Gから100G化へのハードルが高かったため、2010年に100GbEとともに40GbEも標準化されました。
40GbEはSFP+を4個束ねた「QSFP+(Quad SFP+)」が主流となっています(10G×4レーン)。
100GbEについては、SFP+を10個束ねた「CFP」「CFP2」(10G×10レーン)が規格化され、その後、SFP28を4個束ねた「CFP4」「QSFP28」(25G×4レーン)が規格化されました。
100GbEではQSFP28の物量が圧倒的に多いため、供給性やコストダウンを考慮してQSFP28に切り替えていくユーザーが多く、今ではQSFP28が主流となっています。
400GbEについては「CFP8」「OSFP」「QSFP-DD」といった複数のフォームファクターが規格化されていますが、QSFP28と後方互換があるQSFP-DDが主流となりつつあります。
このように、特にデータセンターでは年々必要とされる帯域幅が増加しており、光トランシーバーは10Gから25G、40G、100G、そして400Gに対応してきました。その中でも100Gの光トランシーバーは伝送規格が乱立していて複雑なので、次項からわかりやすく解説します。
マクニカ クラビス カンパニー 技術統括部 加藤 利之氏