ソフトバンクは2023年9月19日、モバイルネットワーク品質のあり方に関する説明会を開催した。
スマートフォンの普及とともに、モバイルネットワークは社会に必要な通信基盤となっている。「外出時には必ずスマホを携行するため、街中で使えないことは不満に直結する。スマホを当たり前に使うことができ、“イライラ”を街からなくすことに主眼を置いた通信品質の維持に努めている」とソフトバンク 常務執行役員 兼 CNOの関和智弘氏は語った。
ソフトバンクの5G基地局数は2023年9月現在、7万局超。「通信品質の維持には5Gが重要」と考えており、特に5Gユーザーの多いエリアでは、既存の5G基地局に重ねて設備を展開する。また、LTEから5Gに転用された周波数も積極的に活用することで、電波が届きづらいエリアでも5Gを使えるようにしている。さらに、LTEとのバランスを取ることで、「5GとLTEのトータルで通信品質を維持しているのが特徴」(関和氏)だ。
そうした取り組みを進める中で、新型コロナウィルスの感染拡大が通信環境にも変化をもたらしている。
コロナ禍では多くの企業がリモートワークを導入したことで、繁華街のトラフィックが減少する一方、住宅街におけるトラフィックが増加した。しかし2022年以降、繁華街におけるトラフィックは回復傾向にあり、今年5月にコロナが「5類」に移行してからは、コロナ前よりもトラフィックが増えているという。
加えて、ユーザーの月間データ利用量は増加し続けており、「ソフトバンクメリハリ無制限」契約者のうち20GB以上を利用しているユーザーは、スマホによる月間データ利用量全体の80%を占める。「より多くのデータを使うユーザーに、いかに満足度の高いネットワークを提供するかがポイントと考えている」と関和氏は述べた。
こうした通信環境を取り巻く変化を踏まえつつ、ソフトバンクがネットワーク整備において最も重視しているのがユーザーの体感だ。
「そのためにはダウンリンクとアップリンクのバランスが取れていることが重要。ダウンリンクがいくら速くても、アップリンクが遅いとパケ詰まりになってしまう。ダウンリンクとアップリンクのバランスが損なわれている場所を見つけることが、ネットワーク品質を維持するうえで大事なポイントになる」(関和氏)という。