「ブロードバンド難民」を救済 ソニー子会社がFWAにローカル5G活用

ローカル5Gはこれまで、主に工場をはじめとするBtoB分野で導入が進んできた。しかしここに来て、BtoC向けにローカル5Gを活用したサービスを提供する動きが見られる。

ソニーグループ子会社のソニーワイヤレスコミュニケーションズはローカル5G事業に参入し、集合住宅向けインターネット接続サービス「NURO Wireless 5G」を2022年春より提供開始する。

「光回線を利用できない集合住宅にお住まいの方たちに提供していきたい」。NURO Wireless 5Gがターゲットとするユーザー層について、ソニーワイヤレスコミュニケーションズ 事業開発部 マーケティングコミュニケーション課の中山直哉氏は、こう説明する。築年数の古いマンションなど光回線を引き込む配管のない集合住宅は、全国で約64%にのぼるといわれる(総務省インターネットトラヒック研究会報告書「VDSL設置物件での光配線方式の導入意向」、図表1)。また、配管が設置されていても、「すでに他の回線に使われていることが少なくない」(中山氏)。建物内の共用スペースまで光ファイバーを使用し、共用スペースから各戸までは電話線で接続するVDSL方式という選択肢もあるが、通信速度は最大でも100Mbps程度にとどまるケースが多い。

図表1 VDSL設置物件での光配線方式の導入意向

図表1 VDSL設置物件での光配線方式の導入意向

ソニーワイヤレスコミュニケーションズ 事業開発部 マーケティングコミュニケーション課 中山直哉氏
ソニーワイヤレスコミュニケーションズ 事業開発部 マーケティングコミュニケーション課 中山直哉氏


新型コロナウイルスの影響から自宅で過ごす時間が増え、映像や音楽を家庭で楽しむホームエンターテインメントのニーズが高まっているが、これらのコンテンツを高品質に視聴するには高速大容量通信が必要だ。NURO Wireless 5Gには、光回線を利用できなかったり、今あるインターネット回線の品質に満足していない「ブロードバンド難民」を救済する狙いがある。ソニーグループには音楽や映像を扱う会社もあることから、「グループ内のアセットと連携したサービスも検討したい」とソニーワイヤレスコミュニケーションズ 事業開発部 サービス開発課の金子達彰氏は述べる。

ソニーワイヤレスコミュニケーションズ 事業開発部 サービス開発課 金子達彰氏
ソニーワイヤレスコミュニケーションズ 事業開発部 サービス開発課 金子達彰氏

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