パロアルトネットワークスは2019年4月5日、セキュリティプラットフォームの新サービス「Cortex」の提供を開始したと発表した。
CortexはAI活用に特化したセキュリティプラットフォームで、脅威の検出・調査・対処を行う「Cortex XDR」や、エンドポイントの防御を行う「Traps 6.0」など複数のアプリケーションから構成される。
代表取締役会長兼社長のアリイ・ヒロシ氏は、デジタルトランスフォーメーションやクラウド移行が増えてきている中で、人手不足の解消やセキュリティコストの削減を実現するため、Cortexを提供したと語った。
パロアルトネットワークス 代表取締役会長兼社長 アリイ・ヒロシ氏
サイバーセキュリティ営業本部 セールスマネージャーの広瀬努氏は、サイバー攻撃のうち99%は様々なツールによって阻止できるが、1%の非常に高度なものに対しては検知自体が難しいと説明する。
1%のサイバー攻撃は防ぐことが難しい
多くの企業は、独立した複数のセキュリティツールを導入することでこれらの攻撃に対応している。しかし独立したツールが増えるとアラート件数や検知した脅威のログデータも増えるため、対応や解析に時間が多くかかってしまうという課題があった。これらの課題を解決し、検知自体が難しかった高度な攻撃の検知・調査を行うのがCortex XDRだという。
サイバーセキュリティ営業本部 セールスマネージャー 広瀬努氏
Cortex XDRは、同社が提供するCortex Data Lakeに蓄積されたネットワーク、エンドポイント、クラウドにまたがるログデータをAIが総合的に分析するアプリケーション。AIが企業内の各端末のアクティビティやプロファイルを基にプロファイリングと学習を行い、攻撃を自動検出する。
脅威を検出した後は根本原因の調査や重篤度の判定といった分析作業が必要になるが、これも同アプリケーションから可能だ。蓄積されたログデータから攻撃の全体像から詳細まで把握できるほか、攻撃の背景や前後関係をまとめて通知する機能も搭載されている。
これまでセキュリティアナリストが人力で行っていた脅威の分析を、AIが大量のデータを処理して迅速に行うことで、生産性の向上やセキュリティ人材の不足に対応するという。
攻撃への対応にはエンドポイントの防御を行うTraps 6.0を利用する。以前から提供していたTrapsに振る舞い型脅威防御エンジンを追加し、ファイルレス攻撃などの高度な攻撃からの保護機能を強化した。
また、エンドポイントのイベントを監視することで脅威が阻止できるほか、時系列でエンドポイントの詳細な動作を確認することもできるという。他にも管理コンソールからインシデントの対処が可能になり、端末のネットワーク隔離やプロセス停止ができるなど、Trapsから多くの機能が追加されたという。
Cortex XDRの基本構成は、Cortex XDRとログデータを蓄積するCortex Data Lake、エンドポイントセンサー(Traps)、とネットワークセンサー(次世代ファイアウォール)だといい、同社はこの構成を推奨している。Cortex XDRとCortex Data Lakeの組み合わせは必須だが、推奨の構成以外にも、ネットワークセンサーのみ、エンドポイントセンサーのみの構成も提供する。
Cortex XDRの構成パターン
Cortexの対応アプリケーションはCortex HubというWebサイトで提供される。Cortex Data Lakeもここから入手できるが、サードパーティやユーザーが作成したアプリケーションも提供されるという。
広瀬氏はCortexを提供した理由について、セキュリティ人材不足の解消と生産性の向上によって新たなイノベーションをもたらすためだと説明。今後の展開について、「AIを使った自律的なSOCを目指す。Cortex XDRによって我々はマーケットをリードしていくが、今後これに追随、あるいは競争するような新しいアプリケーションが誕生することも願っている」と語った。