小田急電鉄・ヴァル研が語る「MaaS基盤をAWSで作る理由」

電車やバスといった公共交通機関に加えて、タクシーやカーシェアなど多様な移動手段を連携するMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)。今やその概念は大きく広がり、飲食や宿泊、医療など移動の目的地で提供される多様なサービスと連携して、我々の生活を包括的に支える手段となることが期待されている。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)執行役員で技術統括本部長を務める岡嵜禎氏は、こうしたMaaS発展のポイントを「個社から複数社、Single PurposeからMulti Purposeへ」と表現した。従来は交通機関や自動車会社等が個々にMaaS基盤を構築してサービスを提供していたのに対し、現在では「それらがすべてつながり、利用者がワンストップで様々なサービスにアクセスすることで価値が高まる」かたちへと進化しているという。


MaaSを取り巻くプレイヤーは多様化している

ただし、こうした新たなMaaSサービスを提供するには、様々な事業者/サービスがスムーズに連携できる環境が不可欠だ。MaaS基盤の構築に当たっては「異業種連携」がポイントであり、AWSサービスが採用される理由の1つになっていると岡嵜氏は説明した。

AWSがMaaS推進を支援できる理由
同氏が「AWSがMaaS推進を支援できる理由」として挙げたのは次の2つである。


AWSジャパン 執行役員 技術統括本部長の岡嵜禎氏
(記者説明会はオンライン形式で開催)

1つめは、「エマージング(発展段階の)ビジネスを支える特性」だ。

発展段階にある新興サービスを展開するには、インフラ領域にマネージドサービスを活用することでコア領域に集中できるようにすること、ITリソースをオンデマンド型で利用し、アイデアを迅速に形にすることが有効だ。

加えて、IT基盤のスケーラビリティも重要になる。「サービスの規模が大きくなったときに、そのままビジネスをスケールさせていける」(岡嵜氏)ことも、AWSがMaaS基盤に採用される大きな理由の1つになっていると話した。

2つめの「異業種連携を支える特性」としては、セキュアなデータ連携を迅速に行えること、うまく離陸したサービスをグローバルレベルにスケールできることを挙げた。また、「学習コストの最小化」も重要なポイントだ。AWSを使っている事業者同士なら、これまで培った技術・スキルを使って、“共通言語”でサービスを迅速に開発・展開できる。


AWSを活用したMaaSエコシステムの例

こうした利点を活かすことで、上画像のように多数の「MaaSエコシステム」が実現されている。

その1つ、小田急電鉄が2019年10月にスタートしたMaaSアプリ「EMot(エモット)」では、電車・バスに加えてタクシーやカーシェアサービスとの連携、観光施設・イベントと連動した電子チケットの配信など、多様なサービスを実現している。

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