英Opensignalは2025年5月9日、日本の地方におけるモバイルネットワーク・エクスペリエンスに関する最新の分析結果を発表した。
今回の分析では、NTTドコモは、地方において最もレジリエンスの高いモバイルネットワークを提供していることが明らかとなった。ドコモは、通信可能エリアの広さや信頼性を評価する「カバレッジ・エクスペリエンス」で首位となり、地方の全指標で少なくとも共同トップに位置付けられた。一方、KDDI(au)は都市部でのパフォーマンスに強みを持ち、都市部における4つの主要指標のうち3つで共同トップとなった。
また、同調査は地方と都市部におけるネットワーク体験の格差も浮き彫りにしている。地方ユーザーは通信圏外となる時間が0.9%に達し、都市部(0.4%)の2倍以上に上る。加えて、地方ではWi-Fiの利用時間が都市部より大幅に短く、モバイルネットワークへの依存度が極めて高い状況にある。これは、有線インターネットや公共・民間Wi-Fi環境が地方では十分に整備されていないことに起因しており、発表では「地方におけるモバイルサービスの質の低さは特に問題」と指摘されている。
日本の地方においては、スマート農業や遠隔教育といった取り組みにモバイル通信が欠かせないインフラとなっているにもかかわらず、ダウンロード/アップロード速度や接続の信頼性といった指標で、都市部との間に依然として大きな差が存在している。Opensignalは、こうした格差の是正に向けて、通信事業者や政府による一層の取り組みが求められるとしている。