地方のモバイル品質はドコモが優位 Opensignal調査

英Opensignalは2025年5月9日、日本の地方におけるモバイルネットワーク・エクスペリエンスに関する最新の分析結果を発表した。

今回の分析では、NTTドコモが地方において最もレジリエンスの高いモバイルネットワークを提供していることが明らかとなった。ドコモは、通信可能エリアの広さや信頼性を評価する「カバレッジ・エクスペリエンス」で首位となり、地方の全指標で少なくとも共同トップに位置付けられた。一方、KDDI(au)は都市部でのパフォーマンスに強みを持ち、都市部における4つの主要指標のうち3つで共同トップとなった。

日本の地方および都市部におけるMNO4社のダウンロード速度と信頼性スコアを比較するOpensignalのグラフ。地方ではNTTドコモが平均46.1Mbpsで最速、信頼性ではauとドコモがほぼ同点(932および928)。都市部ではauが56.6Mbpsで最速、信頼性も最高の948を記録。都市・地方ともに楽天モバイルは全体的に低水準。

分析結果の一部。地方ではNTTドコモが高い品質を記録

また、同調査は地方と都市部におけるネットワーク体験の格差も浮き彫りにしている。地方ユーザーは通信圏外となる時間が0.9%に達し、都市部(0.4%)の2倍以上に上る。加えて、地方ではWi-Fiの利用時間が都市部より大幅に短く、モバイルネットワークへの依存度が極めて高い状況にある。これは、有線インターネットや公共・民間Wi-Fi環境が地方では十分に整備されていないことに起因しており、発表では「地方におけるモバイルサービスの質の低さは特に問題」と指摘されている。

日本の地方部におけるモバイルユーザーのネットワーク体験に関するOpensignalのグラフ。ダウンロード速度(地方:44.2Mbps、都市:52.7Mbps)、アップロード速度(地方:6.5Mbps、都市:8.3Mbps)、信頼性(地方:922、都市:929)、圏外時間(地方:0.9%、都市:0.4%)、カバレッジスコア(地方:9.7、都市:10.0)、Wi-Fi利用時間(地方:29.6%、都市:55.7%)を比較。全体として地方が都市より劣る傾向を示す。

地方と都市部におけるネットワーク体験の格差

日本の地方においては、スマート農業や遠隔教育といった取り組みにモバイル通信が欠かせないインフラとなっているにもかかわらず、ダウンロード/アップロード速度や接続の信頼性といった指標で、都市部との間に依然として大きな差が存在している。Opensignalは、こうした格差の是正に向けて、通信事業者や政府による一層の取り組みが求められるとしている。

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