エヌビディアは2026年10月21日(現地時間)、ドイツ・ベルリンで開催された「GTC Berlin」で、AI-RAN向けコンピューティング基盤「NVIDIA Aerial RAN Computer(ARC)」の新構成を発表した。併せて、ノキアや世界各国の通信事業者と進めるAI-RANの実証状況を公表した。

AI-RANは、無線アクセスネットワーク(RAN)の処理とAIアプリケーションを共通のコンピューティング基盤上で実行する次世代アーキテクチャ。今回発表した新構成は「MGX 2U」と「MGX 4U」の2種類で、主に集約型RAN拠点への導入を想定する。GPUには「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition」を搭載し、CPUはx86とNVIDIA Veraから選択できる予定だ。デルテクノロジーズ、Quanta Cloud Technology、Supermicroが対応サーバーを提供する。
AI-RANの実証も進展している。米T-Mobileはエヌビディア、ノキアと共同で、ワシントン州ベルビューの商用ネットワークにおいてAI-RANによる通話を実証した。商用ARCサーバー上で動作するノキアのGPUアクセラレーション対応RANソフトウェアとMassive MIMO無線機を使用し、既存の5Gスタンドアロン(SA)コアと市販スマートフォンを接続した。エヌビディアによると、商用ネットワークにおけるAI-RAN通話は世界初という。
実証は欧州でも広がっている。英BTは2027年にバーミンガムで稼働中のネットワークを使った実証を予定。ドイツテレコムはAIによる上りリンクのチャネル推定などを検証し、2027年に実地実証へ移行する計画だ。フィンランドのElisaは、ARC上で音声、モバイルデータ、映像解析を同時に実行する実地試験を完了した。また、仏OrangeはARC上でノキアの5Gソフトウェアを検証しており、周波数利用効率の向上やエッジサービスへの対応に取り組んでいる。
このほか、エヌビディアは欧州・中東・アフリカ地域の通信事業者9社による、同社の技術を活用したAIインフラの新設・拡張の取り組みを紹介した。ネットワーク運用の自律化に向けては、ノキアやシスコがエヌビディアのAIモデル「Nemotron」を運用管理ソフトウェアに統合。NTTデータもNemotronを活用し、ネットワークの性能低下の早期検知や原因特定、対応策の提案を行うAIエージェントを構築している。