パナソニック コネクトとパナソニック エンターテインメント&コミュニケーションは2025年10月28日、映像メディア事業説明会および新製品発表会を開催した。
両社は2020年9月、リアルタイムに映像を合成・加工して送出するソリューション「KAIROS」を提供開始。パナソニック コネクト 現場ソリューションカンパニー 映像メディアサービス本部 マネージングダイレクターの梶井孝洋氏は、KAIROSについて、「ソフトウェアの追加によって機能拡張や外部機器との連携が可能になる柔軟性やフレキシビリティが特徴」だと説明した。
また、SDIに加え、ST2110やNDIといったIP伝送規格にも対応。さらに、特定の画面サイズや解像度に制約されず、あらゆる形状・サイズのディスプレイへ映像を送出できるほか、何層にもレイヤーを重ねることが可能で、多彩な映像表現を実現できる。

KAIROSは、テレビ番組やスポーツ中継などのライブ配信から、コンサートや大型イベントの映像演出まで、幅広い現場で活用されており、オンプレ向けの「KAIROSオンプレミス」や、クラウド環境でKAIROSを活用できる「KAIROSクラウドソリューション」などを用意する。
KAIROSオンプレは、来年度以降の納入予定も含めて70社に採用され、138件のプロジェクトで活用される見込み。KAIROSクラウドソリューションは、すでに34社と契約を締結し、120件のイベントでリモートプロダクションや場内演出などに利用されているそうだ。
例えば、多目的アリーナ「TOYOTA ARENA TOKYO」がKAIROSオンプレを導入。多彩な演出で会場全体が一体となったエンタメ空間を再現でき、アリーナの照明やセンターハングビジョン、リボンビジョン、音響設備などを連携・一括制御するためにKAIROSを活用しているという。

また、大阪・関西万博では、NTT西日本のデータセンターにKAIROSの中核を担うメインフレーム「Kairos Core 200」を設置し、データセンター・万博会場・在阪放送局をIOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)で接続するリモートプロダクションを実施した。

今後は、多視点シーンによる迫力あるライブ映像配信や、映像・音響・照明を連携させた臨場感のある演出など、映像コンテンツの多様化がより一層進んでいくと予想される。その一方で、人材不足や経験・勘に依存した属人化など、放送業界には多くの課題も残されている。
こうした背景から、パナソニックグループとして、「業務効率化と映像クオリティ向上を両立させる持続可能な制作環境を提供していく」と梶井氏は述べ、主に2つの領域に注力していくと語った。