早大とNECネッツエスアイ、AIで5Gマルチキャスト放送を安定化するモデル開発

早稲田大学は2026年9月9日、甲藤二郎教授らの研究グループがNECネッツエスアイとの共同研究で、5Gによるマルチキャスト放送の安定性を高めるAIモデルを開発したと発表した。ローカル5Gを使い、光ファイバーの敷設が難しい集合住宅などへケーブルテレビを無線で届ける用途を想定する。

ラストワンマイルにローカル5Gを用いたケーブルテレビへの移行イメージと今回の構成

ラストワンマイルにローカル5Gを用いたケーブルテレビへの移行イメージと今回の構成

5G Multicast/Broadcast Services(5G MBS)は、1回の送信で同じ映像を多数の端末へ一斉配信できる一方で、受信側からの応答を行わない方式ではパケットを再送できず、電波状態の悪化によって映像停止やフレームドロップが発生する課題がある。

今回開発したAIモデルは、5Gの変調方式や符号化率を定める28種類のMCS(Modulation and Coding Scheme)について、0.1秒先にエラーなく受信できる確率を予測する。通信状態が悪化する前に、必要な信頼性を満たす範囲で最も高いMCSへ切り替えることで、映像の安定性と画質の両立を図る。

商用5Gネットワークから0.5ミリ秒間隔で取得した約2600万件のデータを学習に使用した。実ネットワークのデータを用いた検証では、エラーなく映像を届けられるMCSを正しく選択できた映像セグメントの割合が約87%となり、画質を優先する従来手法の約32%を上回った。

研究成果は9月8日、IEEEの国際会議「VTC2026-Fall」で発表された。研究グループは、ケーブルテレビのラストワンマイルに加え、衛星通信や産業システムなど、再送が難しい放送型無線通信への応用も想定している。

なお、NECとNECネッツエスアイは2026年7月、ローカル5Gを使ったケーブルテレビ向けIPマルチキャスト放送について、マルチキャストとユニキャスト、2種類のMIMOを組み合わせて周波数利用効率を高める技術の国際標準化を発表している(参考記事)。今回の研究と同じ総務省委託研究の成果で、NECネッツエスアイは2028年をめどに、国際標準化された規格に基づくケーブルテレビサービスの実用化を目指している。

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