
——テレコムサービスビジネスユニット(BU)が再編され、今年度から新たな組織体制となりました。
佐藤 NECは「ITサービス」と「社会インフラ」を主要なセグメントとしてIRレポートなどで報告していますが、今回このセグメントに合わせて組織が再編されました。テレコムサービスBUには元々、ネットワークインフラ系と情報システム/ITサービス系の2つの部門がありましたが、別々のセグメントに分かれて、ネットワークインフラを担う我々ネットワークソリューション事業部門は、航空宇宙や防衛、海底ケーブル、サイバーセキュリティといった社会インフラの1事業部門として再編された形です。
テレコムサービスBUだけでなく、BUという従来の括り自体がなくなり、各事業部門が社会インフラあるいはITサービスという大きな傘の下で、機動的に動く体制に変更されています。
——ネットワークソリューション事業部門では6G時代に向けて、どういった事業戦略を描いていますか。
佐藤 国内のテレコムインフラは、だいぶ充足してきており、投資も一定規模で推移しています。また、グローバルに目を向けても、製品単独では大きな成長が見込めないなか、どうしていけばいいのか——。我々は今、持続的な利益成長が期待できるソフトウェアやオペレーションにフォーカスして事業を進めているところです。要は、製品価値だけでなく、提供価値を生むような領域です。
——その一環として今年1月、「基地局既存事業」の終息を発表し、大きな波紋を呼びました。
佐藤 基地局の開発すべてをやめてしまうような誤解を与える報道がありましたが、それは間違いです。従来型の基地局の開発投資は終息しますが、既存基地局の保守体制は維持しますし、5G基地局の開発すべてをやめるわけではありません。新しい領域に傾注するというのが正しいです。
我々は今後、Open RANベースのvRAN(仮想無線アクセスネットワーク)に一層フォーカスしていきます。vRANとは、汎用ハードウェアベースのCU/DU(制御部)のことですが、その下につながるRU(無線部)の開発は現在も続けており、基地局を構成するポートフォリオ全体をこれからも提供します。
——発表時、専用ハードウェアベースの基地局開発はやめるといった説明があったかと思いますが、それはCU/DUに限った話ですね。
佐藤 そうです。RUはアンテナがありますから、当然これからも専用ハードウェアベースです。今年1月にはMassive MIMO技術を搭載したSub6向けRUの新製品を発表しています。
ただ、すべての周波数帯にRUのバリエーションを広げることは難しく、顧客ニーズにマッチした形でフォーカスするのが基本方針です。現在、内製についてはMassive MIMOのSub6に注力しており、6Gに向けてFR3(7.125GHz〜24.25GHz)のR&Dにも着手しています。一方、従来型の汎用的なRUなどは、パートナーの製品を活用してラインナップを揃えていきます。
——RUにおけるNECの強みは何でしょうか。
佐藤 小型・軽量かつ低消費電力である点です。GaN(窒化ガリウム)デバイスを用いた高効率・小型パワーアンプモジュールを内製しており、Sub6向けの新RUは現行機と比べて、通常稼働時の消費電力は約42%、体積は約23%、重量は約33%削減しています。
このように全部をソフトウェアへシフトするわけではなく、ソフトウェアにしろハードウェアにしろ、我々の技術が活かせる領域を内製化して展開していくというのが基本戦略です。