エリクソンが世界55社の通信事業者に対して行った調査では、2025年におけるモバイルトラフィックの増加トレンドに大きな変化が見られたという。
2026年6月に英語版が公開された「エリクソン モビリティレポート」の最新版(日本語版は7月公開、関連記事)において、「特集記事」としてフォーカスされたのが、アップリンクとダウンリンクのトラフィック増加率だ。
調査した55社のうち43社(78%)で、アップリンク増加率がダウンリンク増加率を上回った。また、そのうち17社(全体の約3割)では、アップリンク増加率がダウンリンク増加率の1.5倍を超えた。両者がほぼ同等だったのは11%で、ダウンリンクの増加率のほうが高い事業者も11%にとどまった。

もちろん、トラフィックの絶対量では依然としてダウンリンクが大半を占める。エリクソン・ジャパン CTOの鹿島毅氏は「全体の主役がダウンリンクからアップリンクに入れ替わったわけではない」と釘を刺す。あくまで伸び方の傾向に変化が見え始めた、という段階だ。
ただし、ダウンリンク中心で伸びてきたモバイルトラフィックの増加トレンドに変化が起きていることは注目に値する。

このトレンド変化を引き起こした要因は何か。
通信市場では、生成AIやAIエージェントの普及が上りトラフィックの増加を引き起こすとの予測が多く見られるが、鹿島氏は上記の調査結果がAI起因か否かについては、「要因分析はまだ実施しておらず、断定はできない」とした。動画のアップロードなど従来型の要因が引き続き寄与している可能性もあり、AIの影響度を単純に切り分けるのは難しいという。

一方で、モビリティレポートは、AIアプリの普及がトラフィック構成そのものを大きく変え、アップリンクの増加を加速させる可能性は高いとの見立ても示した。2031年のアップリンクトラフィックは、2025年比で大きく増加すると見込んでおり、控えめな予測でも約2倍、中程度から大幅な増加シナリオでは3~5倍に達すると試算している。