東京大学大学院工学系研究科(以下、東京大学)、NTT、理化学研究所、OptQCの4者は2026年3月5日、導波路型光デバイス(光を閉じ込めて、ある方向に光を伝搬させる装置)を用いたスクイーズド光生成に成功したと発表した。

スクイーズド光とは、光の磁場を構成する正弦(sin)と余弦(cos)成分のうち、片方の量子ノイズを圧縮した光のことを指す。この圧縮度(スクイージングレベル)が高いほど、誤差の少ない量子計算が可能になる。また、広帯域なスクイーズド光は、計算の高速化と量子ビット数の増加に寄与するため、光量子コンピューターを支える中核技術の1つとしても期待されている。
そして4者は今回、テラヘルツ級の広帯域性を有する光パラメトリック増幅器(強い光エネルギーを使って、別の光を増幅する装置)を用いて、10.1dBの量子ノイズ圧縮に成功。この成果は、光量子コンピューターの高速計算や計算精度向上、誤り耐性型量子コンピューター(量子ビットによって生じるエラーを検出・補正しながら計算を行う量子コンピューター)の実現に大きく貢献すると東京大学 教授の古澤明氏は話した。

NTTと東京大学は2021年12月、6dBのスクイーズド光を6THz以上の帯域で生成・検出することに成功している。ただ、NTT先端集積デバイス研究所 准特別研究員の柏崎貴大氏によれば、「広帯域は十分に示せている」ものの、光量子コンピューターがより精度の高い計算を行うには「スクイージングレベルのさらなる向上が必要」になるという。

また従来手法では、スクイーズド光を得るための励起光を、量子光源PPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム)導波路に入れてスクイーズド光を生成し、その一部をタップ(光の一部を分岐して取り出すこと)して、スクイーズド光の位相を測定する際の基準となる光(基準光)との位相差を検出することで、位相同期を行っていた。
しかしこの方式では、スクイーズド光をタップした分だけ光損失が生じてスクイージングレベルが劣化してしまう。逆にタップ量を減らして損失を抑えようとすると、位相同期信号のSN比(信号対雑音比)が悪化し、「光損失と位相誤差のトレードオフが避けられなかった」と柏崎氏は指摘した。
そこで今回新たに4者が提案・開発したのが、「新規位相同期手法」だ。