NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)とシンガポールのTranscelestial Technologiesは2026年3月4日、ワイヤレスレーザー通信システム「CENTAURI(センタウリ)」を活用したネットワーク高度化に向けてパートナーシップを締結したと発表した。

CENTAURIは、レーザー光を用いて拠点間を接続する光無線通信(Free Space Optics)技術を利用した通信装置。建物や鉄塔などの間を細いレーザービームで直接結ぶことで、光ファイバーを敷設することなく高速通信を実現する。最大10Gbps~25Gbps超の通信容量とサブミリ秒の低遅延を特徴とし、通信品質は光ファイバーに近い性能を目指して設計されている。無線局免許などの許認可が不要なため、短期間での設置・運用が可能である点も特徴という。
NTT-ATはCENTAURIを国内・海外に向け2025年から販売していたが、同パートナーシップ締結により取り組みを強化する。
今回の協業では、まず災害復旧用途での活用を想定する。地震や台風などで光ファイバー網が損傷した場合でも、可搬型ケースに収納したCENTAURI装置を現地に持ち込み、数時間以内にバックアップ回線を構築できるモバイル災害対応ユニットとして利用する。医療機関や緊急対応機関、企業の業務継続などに必要な通信回線を迅速に確保することを狙う。
また、通信事業者のネットワーク拡張にも活用する方針だ。都市部では光ファイバー敷設に数カ月を要する場合があり、工事コストや周辺環境への影響も課題となる。CENTAURIを利用すれば、光ファイバ敷設が難しい地域でも無線で高速バックホール回線を構築できるため、モバイルネットワークのトランスポート層における柔軟な回線構築が可能になるとしている。
さらに、レーザー通信は狭いビームでポイント・ツー・ポイント接続を行うため、通信の秘匿性が高いとされる。この特性を生かし、重要インフラや防衛分野など安全性が求められる用途での活用も視野に入れる。
すでにCENTAURIは、松山市の松山城と愛媛CATVの施設間を接続するネットワークで商用導入されている。歴史的建造物である松山城では光ファイバー敷設が難しいが、レーザー通信により景観への影響を抑えつつ大容量通信を実現したという。

NTT-ATはこのパートナーシップのもと、日本国内および海外のNTTグループが展開するネットワーク環境において、災害時の通信復旧や回線冗長化など、レジリエンスの高い通信基盤の構築を目指す。