日本の通信事業者は次に示す「三重苦」に直面しており、根本的な競争構造の転換点にある。第一に、契約数とARPU(1人・1月当たりの平均収益)が伸び悩んでいる(図表1)。

第二に、MNPにより顧客獲得競争が過熱(図表2)し、販促費が膨らんでいる。

第三に、5GネットワークのうちSub6帯やミリ波帯、そしてSA(Stand Alone)対応への設備投資負担が増加している(図表3)。

人口減少と市場飽和により、従来の成長前提モデルは崩れつつある。今後必要なのは、どこを“共創”してコストと担い手の制約を乗り越え、どこを“競争”して顧客に選ばれるかを明確に線引きし直すことにある。
結論から言えば、ネットワークや基盤サービスは通信事業者各社が横並びで共通化、サービスや顧客体験は各社で差別化すべき領域である。前者は協業・共用で投資効率と運用継続性を高め、後者は品質の見せ方と提案、サポートで勝負する。この役割分担に移ることができれば、顧客獲得競争の消耗を減らしつつ、5Gの価値を収益に結びつけられる。将来の6Gへの準備も現実的になるだろう。