2019年10月15日、ローカル5Gの実現に向けた課題などについて検討を行う情報通信審議会 情報通信技術分科会 新世代モバイル通信システム委員会「ローカル5G検討作業班」が、7カ月ぶりに審議を再開した。
再開後の最重要議題が、残された4.5GHz帯200MHz幅、28GHz帯800MHz幅を利用するための検討だ。いずれも別の用途で現在も使われている帯域であり、共用条件を整理する必要がある。
図表1 共用検討の対象になる無線通信システム
4.6-4.8GHzは、公共業務用無線局に割り当てられている。この帯域は当初、全国キャリアへの割当が予定されており、2018年に新世代モバイル通信システム委員会において共用検討が行われた。
検討の結果、同一周波数条件では、数十km以上の距離を確保した場合でも広範囲にわたり公共業務用無線局や基地局の許容干渉電力を上回ることが明らかになった。
公共業務用無線局は評価を行った場所以外でも設置が予定されているうえ、様々な利用形態が想定されている。そのため、同一周波数で共用を行うには、5Gシステムを屋内限定で利用する必要があるという。
28.3-29.1GHzについては、衛星通信事業者が地球局から衛星への上り通信に使用している。
こちらも4.6-4.8GHzと同様、新世代モバイル通信システム委員会で共用検討がすでに行われている。
それによると、5G基地局から衛星への干渉については、多くの基地局を設置した場合でも、設置状況を適切に管理すれば共存可能ではないかとの結果が得られた。ただし、衛星通信事業者の地球局から5G基地局への干渉については、地球局の近傍(6km程度以内)では影響が大きく、この範囲に基地局を設置することは難しいという。
当時は、全国キャリアのシステムを前提として4.5GHz帯および28GHz帯の共用の可能性について検討されていたため、作業班であらためてローカル5Gを前提とする詳細な検討を行う予定だが、「全国キャリアとローカル5Gの間で、大きな差異はないことから、2018年7月の新世代モバイル通信委員会の結果と大きく異なる可能性は低く、4.5/28GHz帯とも基本的には屋内利用になる可能性が高いのではないか」と総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課 課長補佐の大塚恵理氏は予想する。
屋内利用の場合には、閉空間の定義や干渉影響を与えない地域の特定、累積干渉電力(アグリゲート干渉)をカウントする主体の整理などを、周波数を共用する事業者との間で調整する作業も必要になる。
今回の検討の結果、4.5GHz帯200MHz幅および28GHz帯800MHz幅が、屋内など閉じた空間に利用が限定されれば、農場や工事現場でローカル5Gを活用するには28.2-28.3GHzの100MHz幅しか使えないことになり、ローカル5G全体の普及そのものに影響を及ぼす可能性もありそうだ。