いよいよローカル5Gが始まった。
12月24日から免許申請の受付が開始。免許交付までの期間は最短で1カ月半ほどで、2019年度内にもローカル5Gの導入が可能になる。
ローカル5Gは、一般的な企業や地方自治体等が周波数免許を取得して自営型の5Gネットワークを構築・運用できる制度だ。割り当てられる周波数帯は、4.6-4.8GHzと28.2~29.1GHzの計1100MHz幅。このうち28.2~28.3GHzが先行して利用可能となり、残りの帯域は2020年末頃から利用できるようになる見込みだ。
ローカル5Gが加速する理由5Gが目指している産業分野での利活用は、携帯キャリアの商用5Gサービス(以下、パブリック5G)よりむしろローカル5Gが牽引する可能性がある。
理由の1つは、パブリック5Gの利用可能エリアが全国で面的な広がりを持つまでには少なくとも数年かかること。携帯キャリアは工場や倉庫、商業施設、スタジアム、農場といった5Gニーズが期待される場所に対して意欲的にエリア展開していく方針を示しているが、それが全国に行き渡るにはある程度の期間を要する。
総務省 総合通信基盤局 電波部移動通信課長の荻原直彦氏は11月27日に行われた「ローカル5Gサミット」の基調講演で、「携帯キャリアのエリアはかなり早いスピードで広がっていくとはいえ、2年、3年かかる地域もある。そういう地域で5Gを早く使いたい方は自分で免許を取り、5Gの利活用をどんどん先に進めていくことができる」とローカル5Gの意義を説明した。
また、免許取得者が自らカスタマイズできる「独自のシステムなので、用途に応じて柔軟に設定することができる」(荻原氏)ことも、産業用ユースケース開拓には好都合だ。新世代モバイル通信システム委員会 ローカル5G 検討作業班の構成員を務める情報通信研究機構(NICT) 経営企画部 企画戦略室 プランニングマネージャーの石津健太郎氏はローカル5Gサミットの講演で、「全国キャリアとローカル5G運用者が役割分担し、一体として5Gエリアを展開する」と話し、「全国キャリアは通信品質を保証し、ローカル5Gはきめ細かいエリア展開とカスタマイズされた機能提供を担う」とそれぞれの役割を説明した。
ローカル5Gは通信速度や遅延等の性能、品質をチューンナップすることで、超高速・大容量通信や低遅延通信などの5Gの特性をより活かしやすくなる。例えば、上りと下りの通信に用いる帯域の配分を変えて、現場を撮影したカメラ映像をサーバーに集めるために帯域の大半を上り通信に割り振るといったことも可能になる。