IDC Japanが今回発表した「法人向け5G関連IT市場予測および市場調査結果」は、5Gの利用意向を持つユーザー企業に加えて、産業IoT機器を提供するサプライヤーとそのユーザー企業にもアンケート調査を実施している点が特徴だ。また、通信事業者や通信機器ベンダー、SI事業者等の5G関連ベンダーへのヒアリングにより、その戦略動向についても調査・分析している。
5Gに対するサプライヤーの反応
調査・分析結果として小野氏がまず指摘したポイントが、サプライヤー側に生じている“温度差”だ。「5Gに対するITサプライヤーの反応は二分されている」とし、5Gを求める先進市場の声を捉えて早期参入を目指す推進派が一定数存在するものの、冷ややかに市場を見る「静観派」がより多いと話した。「静観派も技術には詳しい。それゆえに5Gの課題も把握しており、『10年以内には主流になるだろう』と冷ややかにみている」という。
「5GはDX用途に使う」が多数派
一方、ユーザー企業側の理解度・期待度はどうか。下の画像は、企業のIoT/ネットワーク担当者の「5G理解度」を示したものだ。
ユーザー企業の5Gに対する理解度
5Gの特徴として理解されている点としては「高速大容量」が圧倒的に多く、ローカル5GやQoS保証、ネットワークスライシングといった「産業向けの5Gの特徴を理解している人は半数以下」(小野氏)だった。産業向けの5G利用を広げるには、これらの認知度を高める必要がある。
5Gの用途については、次のスライドのような結果が出た。
5Gの利用意向。企業ネットワークにおいて5Gをメインに利用しようと考えるユーザーは少数派だ
「既存のネットワークを5Gに移行し、5Gをメインに利用する」考えを持つ企業は少数派であり、「既存のネットワークをメインに利用する」企業が多数を占めている。後者は、5Gを新規の用途に、つまりDX(デジタル変革)の用途に利用する考えだという。