ローカル5Gのユーザーニーズは「テレワーク」「災害」が上位に

IT・家電見本市「CEATEC」は10月20日から23日の4日間、完全オンライン形式で開催されている。21日のカンファレンスでは、情報通信総合研究所 IOWN推進室 室長代理/主席研究員の野口正人氏が「ローカル5G市場のユーザーニーズ調査」をテーマに講演した。

情報通信総合研究所は今年3月、一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)の委託を受け、ローカル5Gのどのようなソリューションやサービスが注目されているかを探るニーズアンケート調査を実施した。

まず、事前調査でローカル5Gの認知状況をたずね、「知らない(興味がない)」を除いたサンプルを対象に、特定の会社や業種を指定せずにデータを収集した。データのサンプル数は2085。調査項目は「生産性改善への関心」「人手不足解消への関心」「データ利活用への関心」「個人サービス向上への関心」「安全やセキュリティ向上への関心」「豊かな社会生活への関心」の6つで、それぞれ興味のある項目を選択する方法を採用した。

1つめの生産性改善への関心では、「企業内の通信機器の更新コストを安くしたい」が最も多く51.2%。次いで「サービス内容によって電波の届くエリア範囲を切り替える」が34.4%だった。「これら2項目は、医療および農林水産業を除いた各業種に共通して非常に関心が高い」と野口氏は述べた。

「企業内の通信機器の更新コストを安くしたい」が51.2%と最も多い

ちなみに医療では「遠隔医療や遠隔診療」「医療機器間の無線化で、医療機器の病室間の移動が簡単に」といった項目が上位に並んだ。また、農林水産業では、育成状況の遠隔監視や作業手順など業界特有の項目に高い関心が集まったという。

2つめの人手不足解消への関心は、「5G運用の自動化、省力化」(35.3%)、「災害時を含む臨時の5Gシステム設営、短時間の5Gシステム構築」(24.6%)が上位に並んだ。

「5G運用の自動化、省力化」と「災害時を含む臨時の5Gシステム設営、短時間の5Gシステム構築」が上位に

以下、「遠隔からのリモート化」「自動運転の監視」「家庭の自動検針」など、遠隔操作がキーになる項目が続くが、いずれも20%を超えておらず、「業種・業態によって関心は比較的分散している」と野口氏は指摘した。

3つめのデータ利活用への関心では、「膨大なデータの最適処理(オフロード・エッジ等)」「膨大な過去データを使った業務改善」「多数のセンサーデータによる生産・品質管理」「多数のセンサーデータによる在庫・品質管理」の4項目に回答が集中した。

業界別では、情報通信産業の53.0%が「膨大なデータの最適処理(オフロード・エッジ等)」を選択し、関心の高さが浮き彫りになった。また、エネルギー・インフラ企業の多くが、防災に関連して「多地点無線カメラによるライブビューイング配信」の項目を選んだという。

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