「日本のユーザーは世界と比べてもローカル5Gへの関心度合いが高い」。このように評価するのはノキアソリューションズ&ネットワークス 執行役員 エンタープライズ事業部 COOの西原政利氏だ。
ノキアソリューションズ&ネットワークス 執行役員 エンタープライズ事業部 COO 西原政利氏
日本では2019年12月にローカル5Gの免許申請が始まった。その後、自治体や企業などで実証実験が盛んに行われ、一部では商用導入が始まっている。
こうした盛り上がりの背景について「日本では従来、無線はWi-Fiなど、アンライセンスバンドの選択肢が基本だった。アンライセンスバンドの課題を一気に解決できる規格としてローカル5Gに期待が寄せられているのではないか」と西原氏は語る。免許を必要とするローカル5Gは、免許を必要としないアンライセンスバンドと比較し、干渉の心配が圧倒的に少なく、安定した高速大容量通信を実現できる。このため、ミッションクリティカルなユースケースでの活用が期待されている。実際、JEITA(電子情報技術産業協会)の推計によると日本のローカル5G市場は年平均71.3%のペースで拡大し、2030年には1.3兆円の規模になる見込みだ。グローバルでは2030年に10.8兆円になる(図表1)。
図表1 ローカル5G市場の世界と日本の需要額見通
しかし、ローカル5Gの導入を検討しているユーザーからは構築・運用のハードルが高いといった声も聞こえてくる。そうした中、ソフトバンクは2020年5月、「プライベート5G」の提供を2022年度に開始予定と発表した。このプライベート5Gは、ソフトバンクが同社の周波数帯を用いて、ユーザー企業の敷地内などに基地局を設置し、ネットワークスライシングにより、そのユーザー専用の5Gネットワークを仮想的に実現する。公衆網のパブリック5Gと自営網のローカル5Gの中間にあたる位置づけと言える。
ユーザーは5G利用にあたり3つの選択肢があるわけだが、どう選べばいいかのか。世界ではローカル5Gとプライベート5Gで先行する動きがあり、そこからヒントが得られそうだ。