映像伝送、DX、L5G電波調査がこれ1台 デュアルSIMで5G/L5Gを使い倒す!

オフィスから製造、建設、物流、エンターテイメントなど幅広い業界で、あるニーズが高まっている。ドローンや自律ロボット、VRゴーグル、監視カメラといった多様なエッジデバイスを5Gネットワークで利用したいというニーズだ。しかし各エッジデバイスに5G通信機能を持たせたり、デバイスを含めてローカル5Gシステム全体を構築するのは技術・コストの面から難しい。そこで今、エッジデバイスと5Gネットワークを中継してくれる5G対応のルーターのニーズが高まっているのだ。

そんななか、好評を博しているのが、京セラが5月から販売を開始した5G対応モバイルルーター「K5G-C-100A」である。

K5G-C-100A。排熱処理に優れた冷却ファンが搭載されている
K5G-C-100A。排熱処理に優れた冷却ファンが搭載されている

スマホを3台重ねた程度の大きさで、重さは約326g。インターフェースはUSB-Type C、変換アダプターを使えばHDMIやRS232C、有線LANも接続可能だ。Bluetooth 5.1、Wi-Fi 6にも対応しており、Wi-Fiの最大同時接続は20。GPS、GLONASS、Beidou、ガリレオ、みちびきの5つの位置測位システムとA-GPSに対応しているため高精度な測位もできる。

モデムチップにはSnapdragon X55を採用。国内の5G、ローカル5G、4G/LTEすべての周波数帯に対応しており、NSA/SAのどちらでも利用できる。デュアルSIMのため「片方を公衆の5Gや4G、もう片方にローカル5GのSIMを挿して使っていただける」と京セラの小倉久忠氏は話す。

映像・放送業界でも期待大 エッジコンピューティングも可能DHCPやパケットフィルタリングなど、モバイルルーターでありながら据え置き型と遜色ないルーター機能を持つK5G-C-100Aのユースケースは多岐にわたる。小倉氏がユースケースの1つとしてまず挙げるのがオフィスだ。

「ルーターとしてシンプルに使うことでオフィスの移動が簡単にできる。デュアルSIMでローカル5Gとキャリアの4G/5Gをシームレスに切り替えられるため、明日から急に働くオフィスが変わっても機器を移動させるだけでいい。ネットワークや接続端末の複雑な設定変更は不要だ」

最近では映像・放送業界からの引き合いも増えている。冷却ファンがついているため安定して連続稼働できるのが人気の理由だ。通常のモバイルルーターは、使用しているうちに熱くなり、途中でスループットが落ちてしまう。最悪の場合、リセットやシャットダウンされることもあり、安定して大量のデータを送ることが難しい。K5G-C-100Aは「一定以上の温度になった時にファンが稼働して排熱を促進するため、高スループットが持続する。4K映像を長時間伝送しても全く問題ない」(同氏)

稼働時間については、6000mAhのバッテリーを内蔵しているため、「4Kの映像を転送し続けた場合、電源に繋いでいなくても2時間程度は持続する」。もちろんUSB-Type Cから充電しながら使うこともできる。

さらに一般的なモバイルルーターと違うのが、アプリケーションOSにAOSP(Android Open Source Project)を採用していることだ。SoC(System-on-a-Chip)にはSnapdragon 865を採用し、RAM8GB、ROM128GBと潤沢なメモリを備え、これ1台でエッジコンピューティングが可能。ユーザーが独自のアプリケーションを開発することもできる。

図表1 エッジコンピューティングによる負荷低減

図表1 エッジコンピューティングによる負荷低減

あらかじめ映像のエンコード・デコードができるアプリがインストールされているため、カメラからUSBケーブル経由で取り込んだ映像を、K5G-C-100Aで直接エンコードしてH.265に圧縮してクラウドに送信したり、反対に受信した映像をそのままデコードして4K対応ディスプレイに表示することもできる。簡単なライブ配信であれば、送信側と受信側に1台ずつ使用するだけでよく、専用のエンコーダー/デコーダーが不要になる。

放送用途以外でも監視カメラの映像をエッジコンピューティングで処理し、必要な部分だけ送ることで、クラウドの負荷やコストも削減される。

カメラとの接続イメージ
カメラとの接続イメージ

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