ドコモの海外ローカル5G戦略「世界に5G技術を売り込む」

「最初に理解してもらいたいのは、5Gというのは、向こう15年から20年、様々な社会課題解決に利用されていく技術だということ。ドコモが保有する5Gのパテントや知見を生かし、パイオニアとしての立場を確立していくため、日系企業が数多く進出し、またアジアのIoTハブになりつつあるタイでまず先手を打った」

NTTドコモは今年2月、NTTコミュニケーションズやNEC、富士通らパートナー企業12社とともに、「海外法人5Gソリューションコンソーシアム(5GEC)」を設立。第1弾としてタイで活動を開始したが、その狙いをNTTドコモのシディキ・ザイフ氏はこう語る。

5GECでは、ローカル5Gなどのプライベートネットワークと、5Gを活用したソリューションを組み合わせて海外展開していく。すなわちドコモは、5Gを武器に世界市場へ打って出る。

「海外に拠点を持つ日本のお客様から、海外でもドコモのソリューションを使いたいという声もあり、取り組みを開始した。しかし、ドコモ1社では難しい。パートナー各社がそれぞれの強みを持ち寄り、協力して海外で海外展開する枠組みが必要と考えた」とNTTドコモの田居夏生氏は説明する。

(左から)NTTドコモ 国際事業部 イノベーション担当 担当部長 田居夏生氏、5G・IoTビジネス部 グローバルビジネス推進担当 担当部長 シディキ・ザイフ氏

(左から)NTTドコモ 国際事業部 イノベーション担当 担当部長 田居夏生氏、
5G・IoTビジネス部 グローバルビジネス推進担当 担当部長 シディキ・ザイフ氏

まずはタイでPoCから前述の通り、5GECはタイから活動をスタートさせた。ターゲットは、日系企業がタイに構える製造拠点。2021年下半期からローカル5Gネットワークの構築に向けた実証実験を行い、2022年から商用のローカル5Gネットワークや5Gソリューションを提供開始する計画を立てている。

現時点は「PoCをしっかりと実施できるような状態に持っていく」(ザイフ氏)ため、タイの顧客に課題やニーズのヒアリングを重ねている段階だ。「2桁ぐらいのユーザー企業と、実証実験で何をどこまでするのかをディスカッションしている」(田居氏)。すでに先進的な取り組みを行っている工場からWi-Fi環境もない工場まで、現状は様々だ。ドコモは5Gネットワークを導入していくためのコンサルタントとしても動きながら、ユーザー企業個々の状況に合わせて、スマートファクトリーへのロードマップを一緒に考えていく。

図表1 タイでのスケジュール

図表1 タイでのスケジュール

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