ミリ波の5Gをキャリア向けに早期から提供 L5Gでサブ6オールインワン型基地局も

新たな企業向けプライベートネットワークとして、現在熱視線が注がれているローカル5G。利用できる電波は大きく2種類ある。

1つは4.6~4.9GHz、サブ6と言われる周波数帯域だ。電波は基本的に周波数が低いほど伝送できる情報量は少なくなるが、電波が回り込みやすくなり、広いエリアをカバーすることが可能になる。サブ6の電波であれば、ローカル5Gを屋内外に行きわたらせることが可能だ。

もう1つは28GHz帯のミリ波だ。電波の直進性が高く、広いエリアをカバーするのには不向きだが、その分伝送できる情報量も多くなる。加えて、「400MHzの帯域幅を2つ使えることから、アップリンクであっても高いスループットが出せます」とエアースパン・ジャパン 代表取締役のスティーブン・シップリー氏は解説する。

 

エアースパン・ジャパン 代表取締役 Airspan Networks, Inc., VP スティーブン・シップリー氏
エアースパン・ジャパン 代表取締役 Airspan Networks, Inc., VP スティーブン・シップリー氏

 

サブ6などの低い周波数帯はすでに他の用途に利用されており、ひっ迫した状況にある。そこで5Gでは、まとまった帯域を確保でき、通信速度を向上させやすい28GHz帯などのミリ波が使われることになった経緯がある。ローカル5Gでは合計で1.2GHz幅の周波数が確保されているが、そのうちミリ波は900MHz幅で、サブ6で利用できるのは300MHz幅にすぎない。「超高速」「多数同時接続」「超低遅延」といった5Gの特徴を実現し、有線からの置き換えや、産業でのミッションクリティカルなユースケースを実現するのに、ミリ波の利活用は不可欠である。

しかしユーザー企業がいざミリ波のローカル5Gを活用しようとすると、直面するのが基地局選びの難しさだ。「まずミリ波対応の基地局を提供しているベンダーは数えるほどしかありません」とシップリー氏は指摘する。ミリ波は従来、携帯電話には使われてこなかった周波数帯であり、テスト手法などもサブ6とは違ってくるため対応ベンダーが少ない。

大手ベンダーであれば、こうした技術的課題はクリアしている。しかし、大手ベンダーは基本的にキャリア向けに大量に卸すことを前提に開発・生産している。そのため、一般的な企業が小口で購入するにはややハードルが高い。そうしたなか、一般のユーザー企業であっても導入が容易な価格帯のミリ波対応基地局を提供しているのがエアースパンである。

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