NECは2023年1月16日、ローカル5GやAI、高解像度カメラ等の先進技術を活用して交通状況の把握や危険性の検知を行う実証試験を同年1月から3月まで米国で実施すると発表した。
本実証実験では、先進的なITS(Intelligent Transport System)研究に取り組むバージニア工科大学交通研究所と連携する。同研究所が保有するテストコースの信号柱にカメラおよびローカル5G基地局を設置。ローカル5Gを活用して伝送するカメラ映像をリアルタイムに解析して検証を行う。
NECはこれまで日本国内で、内閣府が運営する官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)等に参画し、ローカル5G基地局、映像解析技術等を活用した交通状況測定やインシデント検知に関する実証を行ってきた。グローバルでの5Gネットワークの需要の拡大が見込まれるなか、海外での異なる周波数帯や技術仕様等の課題に対応し、5Gを活用したベストプラクティスを形成することが今回の目的という。
本実証で用いるローカル5Gは、米国の周波数共用方式(CBRS)で使用される周波数帯(n78)を利用。日本のローカル5Gの周波数(n79)とは異なる仕様で有効性を検証する。
ローカル5Gネットワーク機器として導入する基地局はO-RAN Allianceに仕様に準拠しており、これをテストコースに設置し、高精細な映像データを5Gネットワークを用いて低遅延で伝送し、AIによるリアルタイムでの映像解析を行う。
具体的には、交通状況把握として歩行者や車両の自動判別、動物の進入や人物の倒れこみによる危険性検知のユースケースを評価する。将来的に映像データを実用化する際には、道路利用者のプライバシーを保護した上での運用を想定しており、映像中の人物の顔部分をリアルタイムで覆い隠す技術も検証する。
なお、今回の実証実験では個人の特定や認証を行う技術は使用していないという。