AI時代のネットワーク運用――見えてきた「セルフドライビング」

アシュアランス(assurance)――。

最近、ネットワークベンダー各社が多用するキーワードがこれだ。「保証」を意味する言葉であり、一定のサービス品質を保証するために、管理システムがネットワークを常時監視して問題を早期に発見し、対応策を管理者に提示する「アシュアランス機能」を各社が強化している。

将来的にはAI(人工知能)の活用によって、障害の予兆を検知して問題発生前に手当てを行えるようにしたり、さらには対処まで自動で行う自己診断・治癒能力をネットワークが備える可能性もある。人手がかからない「セルフドライビング(自動運転)」ネットワークだ。

ネットワークを“センサー化”ネットワークの運用は、機器や回線を監視し、問題が発生すれば原因を分析して対応策を判断・実施するという流れで行われる。現状では、そのすべてを管理者が行わなければならない(図表1)。高度な専門スキルと経験が求められるため人材が不足し、その業務は多忙を極めている。

図表1 ネットワーク運用の今までの課題
図表1 ネットワーク運用の今までの課題

この状況を打開するため、上記のサイクルのすべてをシステムに肩代わりさせる自動化が検討されている(図表2)。鍵となるのが(1)モニタリングの高度化と、(2)機械学習だ。

図表2 自動化・機械学習がネットワークを支える時代に
図表2 自動化・機械学習がネットワークを支える時代に

(1)については、情報をリアルタイムに取得して常時モニタリングを可能にすること、そして、広範囲に多くの情報を集めることが肝になる。そこでネットワークベンダー各社が進めているのが、スイッチ/ルーター等の“センサー化”だ。

ヒューレット・パッカード・エンタープライズ傘下のArubaは、LAN向けコアスイッチであるAruba 8400シリーズのOS「OS-CX」に「Network Analytics Engine(NAE)」を組み込んだ。

NAEはポリシー管理とトラフィックの解析機能を持つコンポーネントだ。トラフィックを監視・可視化し、問題が発生した際の原因解析も行う。

また、Arubaの新しいOSであるOS-CXはユーザーやSIerが追加機能をプログラミングできる点が特徴で、汎用プログラミング言語である「Pythonでスクリプトを書けば、例えばパケットドロップの発生等をトリガーとして設定を変えるなどのアクションをさせることも可能だ」と、アジア太平洋地域担当CTOのアモール・ミトラ氏は話す。

Aruba アジア太平洋地域担当 CTO アモール・ミトラ氏
Aruba アジア太平洋地域担当 CTO アモール・ミトラ氏

ポイントは、8400スイッチの中でこれらの仕組みが動くこと。「すべてのトラフィックが通過するコアスイッチでリアルタイムに情報を取得し、即座に対処ができる」のだ。

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