GPUとDPUで飛躍する5G MECとO-RAN準拠vRANを1台のCOTSで

エヌビディアが開発したGPU(Graphics Processing Unit)は、その高い演算能力によって、3Dグラフィックス処理から科学技術計算、そして今日ではさまざまな産業におけるAIの導入に活用されている。こうしたGPUの新たな活用領域としてエヌビディアが特に力を入れている分野の1つに、5G vRAN(仮想化された無線アクセスネットワーク)がある。

ARやロボティクス、IoT等が生み出す大量のデータがやり取りされる5Gでは、広い帯域幅を確保できるミリ波やSub6帯が使われる。だが、こうした高い周波数帯は電波が遠くまで届きにくく、エリアの構築には非常に多くの基地局が必要となる。

通信事業者の収益が伸び悩むなか、5Gネットワークを効率的に整備する手立てとして、基地局設備をはじめとするRANの仮想化は不可欠だ。とはいえ、5G RANの仮想化には課題も多い。エヌビディアでデベロッパーリレーションズマネージャーを務める野田真氏が最も重要なものとして挙げるのが、5G gNB(基地局装置部分)のPHY層において膨大な演算を高速かつリアルタイムで行う必要があることだ。

エヌビディア ストラテジックアカウント本部 デベロッパーリレーションズマネージャー(テレコム領域) 野田真氏
エヌビディア ストラテジックアカウント本部 デベロッパーリレーションズマネージャー(テレコム領域) 野田真氏



「5Gで用いられる高次の空間多重では、経路推定や符号訂正等で膨大な行列演算が必要になる。仮想化で一般的に用いられているCPUベースのCOTSハードウェアでは対応しきれない」と指摘する。その打開策としてエヌビディアが推進しているのが高速な並列演算能力を持つGPUの活用だ。行列演算が得意なGPUを搭載したサーバーは5G vRANのCOTSとして理想的といえる。

野田氏は、チップの性能向上やAI分野等にGPUを活用するための開発環境「CUDA(Compute Unified Device Architecture)」の進歩により、今後実現される5Gの超高速通信にもGPUは十分に対応できると見る。

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