国内ITインフラ市場の売上は2028年に8兆5478億円、IDC Japan調査

IDC Japanは2024年6月25日、国内ITインフラ市場予測を発表した。これによると、同市場の2023年~2028年における支出額の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を7.9%、2028年の同市場の売上額を8兆5478億円と予測している。

国内ITインフラ市場 売上額予測:2023年~2028年

国内ITインフラ市場 売上額予測:2023年~2028年

なお、国内ITインフラ市場には、国内パブリッククラウドサービス(IaaS)市場、国内パブリッククラウド接続用途WANサービス市場、国内ITインフラストラクチャサービス市場、国内システムインフラストラクチャソフトウェア(SIS)市場、国内データセンター向けイーサネットスイッチ市場、国内エンタープライズインフラ(サーバーおよびエンタープライズストレージシステム)市場を含む。

国内ITインフラ市場では、IaaSが最も成長性の高いセグメントだ。DXの推進やAIの活用といったデジタルビジネスの取り組みに対する企業の投資意欲は高く、その基盤としてIaaSは2024年以降も高い成長を継続すると予測している。国内ITインフラ市場におけるIaaSの売上額構成比は、2026年には最も高いセグメントとなり、2028年にはその構成比は35.7%になると予測する。

IaaSの急成長は、国内ITインフラ市場の他のセグメントに大きな影響与えている。ITインフラストラクチャサービスでは、サービスプロバイダー(SP)向けのコロケーションやエンタープライズ向けのクラウド導入コンサルティング/構築の需要が拡大する見込み。また、ITインフラのハイブリッド化による運用複雑化やユーザー企業におけるIT人材不足の課題が顕在化していることから、SP以外のエンタープライズ向け市場における運用サービス(マネージドサービス)に対する需要が高まると見ている。

SISでは、セキュリティにおける新興ソリューションや、「CloudOps」「FinOps」といった新しい機能に対する期待が高まっている。ITインフラ環境のクラウドへのシフトとともに、クラウド環境に求められる機能を有した製品/サービスの重要度が高まっているという。
エンタープライズインフラやデータセンター向けイーサネットスイッチといったインフラストラクチャハードウェアでは、エンタープライズがSPの提供するサービスを利用する機会が増加することから、ハイパースケーラー、クラウドサービスプロバイダー、デジタルサービスプロバイダー、通信事業者、マネージドサービスプロバイダーなどのSPによる投資が増加すると予測する。

一方、エンタープライズが自らITインフラに投資する機会は減少する傾向にある。ただし、セキュリティの確保、デジタル主権やコンプライアンスへの対応、パフォーマンスの向上やレイテンシーの削減、コスト最適化などの観点から、エンタープライズによるITインフラに対する投資も継続するため、予測期間中において、一定の市場規模を維持する見込みだ。

IDC Japan Infrastructure & Devicesのリサーチマネージャーの宝出幸久氏は、「DX推進やAI活用によるデジタルビジネスの取り組み拡大が、今後の経済成長の原動力になるとの期待が高まっている。これを受けて、IaaSを中心に国内ITインフラ市場は堅調な成長を続けると予測する。ITサプライヤーは、プライベート基盤を含むマルチクラウド環境に対応したAIワークロード向けのITインフラ戦略を早急に構築するとともに、レガシーシステムのモダナイゼーションとデジタルビジネス化の両輪で顧客のITインフラ変革を支援すべきである」と分析している。

 

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