「市場全体が毎年2%前後の成長率であるのに対し、当社はグローバルで毎年10%程度の伸びを続けている。特に日本マーケットにおける成長は顕著で、グローバルの数倍は伸びている」
日本シエナの代表取締役社長を務める久米博之氏は、近年のビジネス状況についてそう語った。好調の理由は、従来からの顧客である通信事業者向けビジネスに加えて、「グーグルやアマゾンといったWebスケールのプレイヤーの投資が活発」なことだ。北米では特にこの傾向が顕著であり、光ネットワークの広帯域化を進めるOTT(Over the Top)の需要が業績を押し上げている。
日本シエナコミュニケーションズ 代表取締役社長の久米博之氏
北米に次いで「アジア太平洋地域(APAC)も非常に伸びて」(久米氏)おり、特にインドと日本が著しく成長しているという。これを受けて、米本社も日本マーケットへの投資の拡充を決定。この6月には日本オフィスを、従来比2倍のオフィススペースを持ち顧客検証用ラボも備えた新オフィスへ移転した。さらなる事業拡大に向けて、顧客サポートも拡充する。
400Gbps光伝送で市場をリード
通信事業者もOTT等のクラウド事業者もともに光ネットワークの広帯域化を積極的に進めており、この需要に応えるため、シエナは他社に先駆けて400G伝送コヒーレントチップ「WaveLogic Ai」を製品化した。全世代のチップに比べて1チャネル当たりのキャパシティは2倍となり、同じ容量なら伝送距離は3倍に伸びるという。
最大400Gbpsをサポートする新チップ「WaveLogic Ai」
また、プログラマビリティも特長で、容量を100Gから400Gまで50G単位で調整することが可能だ。
例えば、データセンター間接続やメトロネットワークといった近距離(およそ300kmまで)では400G、数千kmの長距離伝送では200~300Gといった具合に、同じ伝送装置を様々な用途で使い分けられる。1万kmを超える海底ケーブルにおいて最大200Gの超長距離伝送を行っている例もあるという。
主力製品の1つである光伝送装置「Ciena 6500」は、このように、「メトロからロングホール、サブマリンまで同じハードウェア、ソフトウェアで動く」ことが売りだ。日本国内でも4000台以上が稼働しており、NTTコミュニケーションズやKDDIといった主要キャリアにも採用されている。
Ciena 6500の導入実績
もう1つの主力製品である「Waveserver」も好調だ。これはデータセンター間接続(DCI)向けの製品で、特にOTTへの販売が伸びているという。