「他社から“在庫がない”と断られたのだが、そちらはどうか——。こうした問い合わせが最近、非常に増えた。うちもほぼ空きがない状況でビジネス的にはありがたいが、市場全体でGPUが足りない状況はなんとかしないといけない」

そう語るのは、GMOインターネット ドメイン・クラウド事業本部 GPUクラウド事業部 部長の武田茂氏だ。同社は、AI開発向けに高性能GPUインフラを提供するクラウドサービス「GMO GPUクラウド」を2024年11月にリリース。「2025年夏頃から急激に引き合いが増加した」(同氏)
引き合いが増加しているのは、さくらインターネットのGPUクラウドサービス「高火力シリーズ」も同様だ。クラウド事業戦略本部 AI事業推進室 担当部長の角俊和氏によれば、「AIブームによる需要の高まりは当初の想定を大きく超えている」。

GPU特化型インフラを提供する「GPUクラウド」事業者は、どこもほぼ同じ状況だ。世界的なAI開発競争において、ハイパースケーラーやOpenAIといった巨大テック企業でも“GPUの取り合い”が続いている。研究機関や一般企業が自前でAI計算基盤を構築するハードルは高く、サービスとしてGPUリソースが使えるGPUクラウドに顧客が殺到。ただし、ハイパースケーラーですら日本リージョン向けリソースを絞り、米国等の特定顧客へ優先的に配分せざるを得ない事態に陥っており、需給バランスが改善する兆しは見えていない。
AI処理に特化したGPU計算基盤を提供する新たなクラウド形態およびその提供事業者は、海外では従来型のクラウドと区別して「ネオクラウド」と呼ばれる(図表1)。国内ではGPUaaS(GPU as a Service)のみに特化した事業体は少ないものの、データセンター(DC)事業者らが提供するGPUクラウドは着実に数を増やしており、新たな市場を形成しつつある(図表2)。


利用形態はIaaSと同様で、ユーザーはインターネットあるいは専用線を経由してGPU計算基盤にアクセスし、リモート操作する(図表3)。大規模モデルの学習や推論、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、大規模データ分析といった高度な計算処理を効率的に実行するための環境が提供されており、用途やタスクに応じてGPUを使い分けたり、規模を変更したりできること、環境構築や運用の手間がないことがメリットだ。

ネオクラウド市場は、AIインフラ需要の高まりを背景に急成長が見込まれている。
Synergy Research Groupが4月2日に発表した最新の調査結果によれば、ネオクラウド市場の2025年の売上は250億ドル超、同年第4四半期(90億ドル)は前年同期比223%増となった。今後の年平均成長率は58%で、2031年の市場規模は約4000億ドルに達する見通しという(図表4)。
