キヤノンITソリューションズは2025年11月27日、事業説明会を開催し、「Cato SASEクラウド向けSOCサービス」の提供を2026年3月に開始すると発表した。
同社は自社開発製品、受託開発、データセンター運営を柱とするSIerで、キヤノンマーケティングジャパングループの利益の約3割を担う。重点領域としてスマートSCM(サプライチェーンマネジメント)、車載システムなど7つを定めており、その1つにクラウドセキュリティがある。
同社は社内に「サイバーセキュリティラボ」を設置し、研究や産学連携活動に取り組み、その成果をサービス開発に反映している。そうした取り組みの1つとして、イスラエルCato Networksの「Cato SASEクラウド」と、その導入支援サービスを提供している。

執行役員 ITプラットフォーム事業部門 ITプラットフォーム営業統括本部長の西野勝規氏は、SASEを始めとするゼロトラストは浸透しつつあるものの、導入にあたっては中堅・中小企業の47%が運用人材不足を課題と捉えているという富士キメラ総研の調査結果を紹介。セキュリティ運用を外部委託するSOC(セキュリティオペレーションセンター)サービスのニーズが高まっていると説明した。
Cato SASEクラウド向けSOCサービスは、こうしたニーズに対応するもので、中堅企業をメインターゲットとするという。

Cato SASEクラウド向けSOCサービスの特徴は、「人とAIエージェントが協働する自律型SOCの実現を視野」(西野氏)に入れ、AIによる自動化機能を搭載していることだ。AIがログやアラートの相関分析を行い、脅威度と緊急度を評価し対象シナリオを自動的に提示する。また、AIがマルウェア感染などの恐れを検知した場合、SOCシステムが端末にインストールされたMDRソフトウエアに指示を出し、人手を介さずネットワークから隔離することも可能だ。

こうした自動化機能により、SOCサービスながら人的リソースへの依存を減らし、月額30万円(税別)からという低価格を実現したという。同社のITインフラサービス「SOLTAGE」のラインナップとして提供する。
西野氏は、「順次、Cato SASEクラウド以外にも(SOCサービスの対象となる)サービスを追加していく。これに応じ、準大手企業、中小企業にも顧客を拡大していきたい」と述べた。