「様々な困難な中でも23.4%の成長率を達成できた」
終わりの見えないコロナ禍、ロシアによるウクライナ侵攻――。世界は多くの困難に現在直面しているが、こうした厳しい状況下においても、A10ネットワークスは“停滞”とは無縁だったようだ。
同社 日本法人代表 兼 社長 米国本社ヴァイスプレジデント兼務の川口亨氏は冒頭のコメントの通り、2022年第1-第3四半期の前年同期比成長率がグローバルで2割を超えたことを報告した。
国内ビジネスについても現在の顧客数は1700社超、この約1年間で269社の新規顧客を獲得するなど好調を堅持しているという。
「過去、我々のお客様の多くは通信事業者やWeb事業者だったが、ここ数年はエンタープライズ、官公庁、公共分野での採用も進んでいる。特に地方自治体のお客様が増えたのが、この1年の大きな特徴だった」と、川口氏はユーザーの裾野自体も拡大していることを紹介した。
SSL可視化アプライアンス市場についても高いシェアを維持している。2021年度の国内シェアは72.9%と、72.3%だった2020年度に引き続き7割を超えた(デロイト トーマツ ミック経済研究所調べ)。川口氏によれば、政府統一基準に合致していることが、高いシェアの背景の1つにあるという。
このように成長を続ける中、株価もこの1年間で大きく伸張。これを受けてニューヨーク証券取引所に招かれ、「クロージングベル」を鳴らす栄誉にもあずかった。
今回のA10 Connectには、「クラウドコンピューティングの未来」という副題が付けられている。
A10ネットワークスは、クラウドコンピューティングの未来をどう描いているのか。川口氏は「分散クラウド」の時代が到来していると語った。
分散クラウドとは、ハイパースケーラーのクラウドに加えて、オンプレミス、エッジなど、すべての物理的なロケーションを統合するクラウドの新しい形である。
「物理的に身近な場所にデータを置いて処理したいといったニーズが増え、地域や業界毎など様々なクラウドへ分散化する状況を迎えている。こうした変化に対して、A10ネットワークスがどう対応しようとしているかを紹介するのが、今回のA10 Connectの主題の1つだ」
A10ネットワークスの“対応”の一例として川口氏が紹介したのは、2022年10月から提供開始した「A10 Cloud Access Controller」である。これは、トラフィック制御とセキュリティの機能をクラウドサービスとして提供するものだ。分散化するデータに対して、クラウド上から一元的な制御を行うことができる。
「A10ネットワークスは、専用ハードウェアを提供するプラットフォーム企業から、クラウドや仮想インスタンスによるハイブリッド環境へ移行する世界中のお客様をサポートする企業への進化を遂げつつあるのだ」。A10ネットワークス 米国本社社長 兼 CEOのドゥルパド・トリベディ氏は、このように説明した。
もちろんハードウェアの進化にも引き続き注力していく。A10ネットワークスは健全な財務体質をベースに、売上の2~3割を研究開発に毎年投じており、「最高のスループットと低いレイテンシーを実現していく」とトリベディ氏は約束した。
分散クラウドの時代には、クラウド間の“横”のトラフィックも増大する。「2030年までにデータ量は10~15倍に増えるという試算もある。この激変にしっかり対応していくことが私たちの目標だ」と川口氏も述べた。
もう1つ、両氏が強調したのは、セキュリティ機能のさらなる強化である。
トリベディ氏は、アプリケーション配信/負荷分散、SSL可視化、CGNATなどの機能を1つのインフラに統合する一方で、「セキュリティ分野においてもトラフィックを理解し、様々なタイプの脅威を検知・緩和する最善の方法を顧客に提案できるようになった」と、A10ネットワークスのここまでの成果を強調。
そのうえで次のように今後の方向性を力強く語った。
「セキュリティは我々の製品プラットフォームに統合される重要な要素だ。セキュリティ機能をさらに拡大するためにも、日本のお客様やパートナーとの連携を強めていきたい。当社の強みであるインフラに注力しながら、セキュリティを付加することが私たちの目指すところだ」
川口氏、トリベディ氏の講演をはじめ、A10 Connectの数々のセッションは2023年3月31日までアーカイブ配信中だ。
<A10 Connect 2022>
https://a10connect.a10networks.co.jp/
<お問い合わせ先>
A10ネットワークス株式会社
https://www.a10networks.co.jp/