「1年ほど前から、日本でもランサムウェア対策を講じる動きが活発化しています。特に昨年、大阪市の病院がランサムウェアの被害に遭ってから風向きは大きく変わり、非常に多くのお問い合わせを頂いています」
プログレス・ソフトウェア(本社・米国マサチューセッツ州ボストン)で日本事業統括を務める市原裕行氏は、同社が展開するセキュリティソリューション「Flowmon ADS(Anomaly Detection System)」の現状をこう説明する。
重要データを暗号化して使用できない状況にした上で、データを元に戻す対価として「身代金」を要求するランサムウェア攻撃による被害が近年増加している。
その被害は甚大だ。冒頭の病院のケースでは、電子カルテが利用不可能となり、バックアップデータを用いて完全復旧するまでに2カ月以上を要した。バックアップデータがなければ、事業の継続が難しくなる可能性さえあるのだ。
「海外と比べると、これまで日本では、ランサムウェア対策の重要性があまり理解されてきませんでした。しかし最近、大規模な病院では『ランサムウェア対策は絶対に必要』という認識が定着してきています。さらに医療機関だけでなく、官公庁、研究機関、製薬会社、法律事務所など、重要データを長期間保存する必要のあるお客様は、強い危機感を持ち始めています」と市原氏は語る。