「GPUクラウド利用は二極化」さくらインターネット 角氏

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さくらインターネット クラウド事業戦略本部 AI事業推進室 担当部長の角俊和氏

GPUクラウドサービスの開始は2016年まで遡ります(当時の名称は「高火力コンピューティング」。現在は「高火力シリーズ」)。産総研等の研究機関との共同案件から始まり、機械学習・AIモデル開発の需要増加に伴い段階的に拡大してきました。

大きな転機となったのが2023年6月です。経済産業省のクラウドプログラムの供給確保計画の供給確保計画に認定され、国内事業者では最大となる1000億円規模の投資計画をスタートさせました。

2023年以降のAIブームの盛り上がりは正直、想定を大きく超えるものでした。計算資源の旺盛な需要は今も続いており、安定的なサービス提供に向けた努力を続けています。

ユーザーの使い方は、機械学習・LLMの開発用途が中心ですが、少しずつ変化が見え始めています。従来はAIモデルをスクラッチで開発するニーズが多かったのですが、開発・ファインチューニングしたモデルをサービスやプロダクトに活用する「推論」用途の検討を始める企業が増えてきました。米国と比べるとずいぶん遅れてはいますが、AIの社会実装が本格的に始まりつつあると感じています。

この変化に合わせて、サービスラインナップの拡充も考えています。

これまでは汎用的に使えるGPUサーバーの提供が中心でしたが、昨年から、学習用途向けと推論用途向けの両方向に幅を広げています。前者は超大規模スパコンの提供、後者はAIモデルをAPIとして利用できるプラットフォームサービスです。

利用傾向は二極化している印象です。利用規模はサーバー1〜2台の小規模から数十台を超える大規模まで幅広く、中間層が少ない。大規模利用の中心は、助成金を受けたAIスタートアップや自動車等の製造業、創薬、最近ではロボット産業などです。推論での利用については、あらゆる業種に広がりつつあるものの、まだボリュームはそれほど大きくありません。

市場では国内事業者とハイパースケーラーの双方と競合しており、差別化として、国内事業者で唯一のガバメントクラウド認定を受けていることを打ち出しています。ただし、率直にいえば、実際の購買決定を左右するのは「GPUを調達できるか」「最新のものか」「価格はどうか」です。技術的な差別化よりも在庫の有無、調達・デリバリーの速さが重要になっているのが現状です。急増する需要への対策として、KDDI、ハイレゾと日本GPUアライアンスを設立しました。リソースプールを相互活用することで、逼迫した供給状況の改善とサービス向上を目指していきます。

推論フェーズではエヌビディア以外も?

AI開発は、エヌビディアの開発プラットフォーム「CU DA」への依存が大きく、開発者にとってエヌビディアが一番使いやすいのは事実です。ただし、推論では話が変わります。エヌビディアのGPU向けに作られたAIモデルを変換して動かすだけであれば、CU DAはほぼ関係ない世界になります。チップの選択肢は広がっていくと見ています。

世界的には学習から推論へのワークロード移行が進んでいますが、その流れが日本にどれだけ反映されるかは、予測が難しい状況です。AI利用が縮小する未来はあり得ないとしても、利用拡大に伴うワークロード需要が国内に生まれるかどうかは別の話だからです。米国1強になる可能性もあり、中国や欧州が採用しているようなAI産業の保護・育成策が、日本にとって参考になるのではないかと思っています。

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