沖電気工業(OKI)は2020年11月19日、東北大学と共同提案した「光アクセスネットワークの仮想化技術の研究開発」が、経済産業省とNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ポスト5G 情報通信システム基盤強化研究開発事業/先導研究(委託)」に採択されたと発表した。
これは、5G、そして2030年以降に実現される6Gにおける無線アクセスネットワーク(RAN)の課題を解決することを目的としたものだ。
5G以降のモバイルシステムは、電波到達範囲が比較的小さいスモールセルを多数設置する形態が主流になる。そのため、4G時代に比べてアンテナの設置数が増大。同時に、スモールセルのアンテナユニット(Radio Unit:RU)と、それを収容・制御する基地局(Central Unit:CUやDistributed Unit:DU)との間の光配線も爆発的に増えることになる。
「フロントホール」と呼ばれる、このRU-DU/CU間の接続・運用コストならびに消費電力量の増大が大きな課題だ。
そこで、OKIと東北大は共同で、フロントホールにおける光配線の最適化を提案。1本の光ファイバーを複数加入者で共有できる「PON(Passive Optical Network)」を、RANの光伝送部分に活用するシステムの研究開発を進める。従来は1対1で接続していたフロントホールにPONによる1対N通信を適用することで、接続の簡素化と低コスト化、柔軟性の向上等が可能になるとしている(下図表を参照)。
モバイル基地局の面的展開のイメージ(OKI発表資料)