「新規参入の余地が大きいドローン・宇宙」 地経学研究所 小木氏に聞く防衛産業の商機

地経学研究所 小木洋人氏

地経学研究所 主任研究員 小木洋人氏

――防衛産業では今、どういった変化が起きていますか。

小木 一番の大きな変化は、防衛装備品の需要が世界的に拡大していることです。

日本では、2022年10月に策定された戦略3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の3文書)以降、防衛装備品の契約金額が大幅に伸びています。防衛装備庁が契約する「中央調達」は、2021年度の約1.8兆円から2023年度には約5.6兆円と3倍以上に増加しました。米国や欧州の主要国でも、国防費は軒並み拡大しています。

これは、単にウクライナ支援のために武器需要が高まっているからではありません。ウクライナ戦争は続いているものの、日本が位置するインド太平洋地域では、現時点で本格的な戦争は起きていません。それにもかかわらず、備えのために需要が急拡大しているという状況です。

防衛産業は日本に限らず、これまで需要があまり伸びない産業でしたが、第2次世界大戦後で最も変化の大きい時代を迎えていると感じています。

防衛産業の利益率は?

――2025年10月に出されたレポートでは、防衛産業は「需要超過」時代と指摘されています。

小木 計画通りに装備品を調達したくても、供給力が逼迫しており、タイムギャップが生じている状況です。防衛企業に話を聞くと、皆が口を揃えて次のように言います。「設備投資は頑張ればできるが、人が足りていない」と。半導体産業や自動車産業などと欲しい人材のバッティングも起きている可能性があります。

防衛省から直接受注するプライム企業の待遇はそれなりにいいものの、下請けのサプライヤーについては給与水準が十分に伸びていません。防衛産業における人材確保は、今後さらに大きな課題になっていくでしょう。

――かつて低かった収益性は改善してきていると聞きます。

小木 2022年度までは、防衛省が製造業黒字企業の平均利益率に各種調整を加えた8%程度の利益率を一律に付加して契約価格を決定していました。

ただし、こうした利益率が、下請け企業までトリクルダウンしているかというと、おそらくプライムと同等の利益率は取れていません。

そこで2023年度からは、防衛省が企業ごとの企業評価を行った結果と連動させる形で、5~10%の間で利益を付与し、それにコスト変動調整率(5%まで)を加えるようになったので、最大で15%まで利益相当額が付与される場合があるようになりました。

民間事業は、好調なときもあれば、赤字のときもあります。例えばコロナ禍では民間部門の航空機ビジネスは低迷しました。一方、防衛事業は安定しています。

無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。