仏のオンライン未成年者保護政策

仏政府は、オンラインでの未成年者保護政策に積極的であり、EU内でも先導する立場と自認している。そこで、近年の仏政府等の動向を紹介することとしたい。

15歳未満のソーシャルメディア禁止関係

2023年7月、仏政府は、ソーシャルメディア利用実態調査結果や若年層が抱えるリスクを踏まえ、オンラインで行われるハラスメントをこれまで以上に防止すること等を目的として、「デジタル成年を定め、オンラインヘイトに対抗する法律」を公布した。

親の同意なくソーシャルメディアへの利用登録が可能な「デジタル成年」を15歳と定め、ソーシャルメディア提供者に対して年齢・親の同意確認を義務付ける法律だが、欧州委員会からデジタルサービス法(DSA)に適合していないと判断されており、実施のための政令は公布されておらず、未施行の状況にある。

2025年6月、マクロン大統領はこの法律に関し、数か月以内に欧州レベルでの合意が得られない場合、仏政府は、単独で15歳未満のソーシャルメディア利用禁止措置を実施する可能性があると表明した。

2025年7月、欧州委員会は、DSAに基づく未成年者のオンラインにおける高いレベルのプライバシー、安全性及びセキュリティを確保するための措置に関するガイドラインを公表した。これを受け、仏経済・財務・産業・デジタル主権省は、当該ガイドラインにより、各加盟国はソーシャルメディアへの最低年齢制限を国内法で設定し、プラットフォームに対して利用者の年齢確認を義務付けることが可能となり、仏において15歳未満のソーシャルメディア利用の禁止に係る立法手続きに向けた道が開けたと評価している。

シャパズ・デジタル・AI担当大臣は、法案提出準備作業が進行中であり、大統領の望む15歳未満のソーシャルメディア禁止を速やかに実現すると意欲を示した。2025年9月には国民議会の超党派の議員による未成年者に対するTikTokの心理的影響に関する調査委員会報告書が公表され、EU法に15歳未満のソーシャルメディアへのアクセス禁止規定を盛り込むこと、それが整備されるまでは各国国内法に取り入れること、プラットフォーム上で推薦されるコンテンツの多様化をEU法で規定すること、夜22時から朝8時までのデジタル門限を設定すること、親に対する子供の健康・安全保護の怠慢に対するデジタル怠慢罪を創設するなど、43項目が勧告されている。

ポルノサイトからの未成年者保護関係

2025年2月、仏政府は、ネット上でポルノから未成年者を保護すること等を目的とするデジタル空間の安全確保及び規制に関する法律の政令において、EU内の主要17ポルノサイトを指定し、利用者に対する年齢確認など、未成年者のアクセス制限を義務付けた。

2025年7月、仏国務院は、EU加盟国に拠点を置く一部のポルノコンテンツ配信サービスに課されたユーザーの年齢確認義務の停止を求めるパリ行政裁判所の仮処分裁判官の決定を取り消し、その結果、EUの他の加盟国に拠点を置く17のポルノサイトに対し、即時に強固で個人データを保護する年齢確認システムを導入する義務が復活した。

当該国務院決定は、オンラインでの未成年者の保護に関して決定的な成果を収めたと仏政府は評価している。

さいごに

上記の他、2025年8月には豪の動画配信プラットフォームKick上で配信中の仏の配信者が死亡する事案が発生し、仏国内ではセンセーショナルに取り上げられた。プラットフォームを巡る課題への対応は火急であり、仏政府等の動向について引き続き注視していきたい。

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