OECD閣僚理事会とAI

本年6月3日及び4日、OECD閣僚理事会(MCM)がフランス(パリ)で開催された。

MCMは、関係閣僚が集まる年1回の会合であり、OECDの今後の方向性など、その年の重要トピックについて議論を行う。

本年は、フィンランドが議長国であり、「産業政策」をテーマに活発な議論が行われた。なお、日本は、OECD加盟60周年にあたる2024年に議長国を務めた。

OECDでは、マクロ経済、財政・金融、教育、雇用、環境等、幅広い経済・社会的課題等について、議論されるが、AIを含むデジタルも非常に重要なトピックとなっている。

現在、国連をはじめとして、様々な枠組みでAIに係る議論が行われているが、OECDは、AIの国際的な議論を早くからリードしてきた。

2019年には、AIに関する最初の政府間スタンダードとなる「OECD・AI原則」を公表した。「人間中心」の考え方を基本にAIに関わる全ての人に適用される実用的な指針として策定したものである。

本年のMCMにおいても、AIは議題として扱われ、AIを含むデジタル・新興技術の開発と普及を加速させることの重要性が確認された。

また、MCMでは、サイドイベントも併せて開催される。本年は、6月2日を中心に、関連のサイドイベントが実施され、我が国は、英国及びコスタリカとともに、AIに係るサイドイベント「AIに関する国際協力の推進(Advancing International Cooperation on Artificial Intelligence)」を開催した。

当日は、オンラインを含め700を超える参加者が傍聴し、我が国からは、堀井外務副大臣が、開会挨拶を行った他、今川総務審議官が、パネリストとして登壇するとともに、閉会挨拶を行った。

サイドイベントでは、主に2つの成果物がハイライトされた。

1つ目が、「OECD・AI原則」に基づき、各国のAI政策課題を分析し、政策立案支援を行う「AI政策ツールキット」の初版であり、2つ目が、「広島AIプロセス報告枠組み」の改訂版である。

いずれも、「OECD・AI原則」に根ざした取組であるが、前者の「ツールキット」は、昨年のMCMで、コンセプト等について採択され、約1年かけて作り込みを行ってきた。

「OECD・AI原則」をグローバルサウスも含めて、国際的に普及させることが目的の1つであり、東南アジア等の地域の視点や実情を反映するため、各地域でワークショップも開催した。

我が国も、タイ(バンコク)の「共創ワークショップ」の開催を支援した(合計2回開催)。「ツールキット」は、現在、OECDのウェブページ上で公開されているが、今後も機能拡充が予定されている。

後者の「報告枠組み」は、2023年の我が国のG7議長国下で立ち上げた広島AIプロセスに関連する取組である。

広島AIプロセス「国際行動規範」の遵守状況をAI関連企業等が自主的に確認・報告するものであるが、OECDが実際の運用を担当している。G7とOECDが緊密に連携している例の1つであろう。

昨今、国際的な枠組みを通じて、様々な原則等が策定されるが、原則は策定するだけでなく、実際に執行・推進していくことも重要である。

「OECD・AI原則」は、OECD加盟国外にも拡大を続けており、現在も引き続きモメンタムを持って、関連する取組が進行している。

※本稿は、筆者の個人的見解であり、所属組織の見解を示すものではない。

月刊テレコミュニケーション 2026年8月号の記事を再構成]

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