クアルコムは2026年9月11日、最新の車載AIやADAS(先進運転支援システム)、コネクテッドカー技術を披露する「Qualcomm Automotive Demo Event」を開催した。まず目を引いたのが、コックピットのデモだ。
使われているのは、第5世代のSnapdragon Cockpit Elite。同社のコックピット向けSoCとしては最上位に位置づけられる製品で、1つのSoC上でハイパーバイザーを動作させ、メータークラスター(スピードメーターやタコメーター、燃料計などの各種計器類をまとめたユニットパネル)側と、3Dグラフィックスを含むインフォテインメント側の描画を同時に実行している。

グラフィックスエンジンには、エピックゲームスのUnreal Engine 5を採用した。もともとゲーム向けだったエンジンを車載向けに最適化して顧客に提供する計画だ。リアリティの高い3D表現が可能で、エンターテインメント向けのUIだけでなく、ADASが取得する周辺カメラ映像の表示にも活用できるという。
生成AIの処理をエッジ側で行うことを前提に設計されている点も特徴だ。「Hey Snapdragon」などのウェイクワードでAIエージェントが起動し、自然言語の対話を重ねながらナビゲーションの目的地を設定していく。従来のように一方通行の指示で自動設定されるのではなく、やり取りの中で条件を詰められるようになっている。

ディスプレイ上部に搭載されたカメラとIR(赤外線)センサーは、顔認証やドライバーモニタリングに使える。エンジン始動時にドライバーの顔を認識し、シートポジションやエアコンのオート設定、UIのタイル配置までをパーソナライズする。
もっとも、こうした機能はいずれも、クルマが「つながっている」ことを前提とする。車載AIが社外の情報を取得したり、AIエージェントがクラウドの機能と連携するにも、その土台には通信がある。クアルコムはコックピット向けSoCと並行して、車載通信チップセットの全方位展開を進めている。