光伝送網の能力はもっと引き出せる 目指すは“どこでも400G”の世界

世界各国の通信事業者やデータセンター/クラウド事業者は、際限なく増大するトラフィックと戦い続けている。厄介なのは、トラフィック増に比例して収益が高まるわけではないことだ。5Gサービスが始まり、IoTが本格普及すれば、この流れにさらに拍車がかかる。

これまでのように10Gから40G、100Gへと単純に“パイプを太くする”やり方では、この戦いは乗り越えられない。「光ファイバーの利用効率を最大化する」というアプローチが重要だ。伝送路の状態、通信距離や用途に応じて光ネットワークの性能を最大限に引き出し、帯域を余すことなく使い倒すのだ。

そんな柔軟性を持つ光伝送網――“Adaptive Network(適応型ネットワーク)”の実現を目指しているのが、デジタルコヒーレント通信技術の研究開発をリードし、40G、100G、400G伝送を世界で初めて実用化したシエナである。日本シエナコミュニケーションズ システムエンジニアリング部 ディレクターの瀬戸康一郎氏は、そのビジョンについて次のように語る。

「これまでの光ネットワークは固定的で、用途や伝送距離によらず遠くても近くても100Gで使い続けてきた。だが、今は、伝送距離が短くノイズも少なければ200G、さらに400Gを通すといったように、帯域をできるだけ有効活用しようとしている」

日本シエナコミュニケーションズ
日本シエナコミュニケーションズ システムエンジニアリング部 ディレクターの瀬戸康一郎氏(左)と、グローバルプロダクト技術本部 シニアエンジニアの小暮太一氏

具体的には、光伝送網から情報を吸い上げ、ノイズの量や伝送ロスの状況をリアルタイムに分析し、例えば400G伝送が可能な状況ならば、ソフトウェア制御によってそのための設定を伝送装置に流し込む。「リアルタイムに最適化される光伝送」を目指しているのだ。

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