インテルが進めるネットワーク仮想化 国内キャリアとの最新動向も

5月25日に開催された「ワイヤレスジャパン/WTP2022」の基調講演において、インテル 新規事業推進本部 クラウド・通信事業統括部 統括部長の堀田賢人氏が「日本の通信キャリア様と共に進めるネットワークの仮想化」と題した講演を開催。その中で、「5G/6G」におけるインテルの製品や日本の通信キャリアとの取り組みについて語った。

 

 

インテル 新規事業推進本部 クラウド・通信事業統括部 統括部長 堀田賢人氏
インテル 新規事業推進本部 クラウド・通信事業統括部 統括部長 堀田賢人氏

 

ガートナーの調査では、現在市場の95%のデータはデータセンターがジェネレートしていることがわかっている。しかし今後5G・IoTの普及、映像の4K/8K化が進むことで、人間と機械は現在の数倍の速度でデータを作り出し、「2025年には、50%以上のデータはデータセンターではなく工場、病院、小売店や都市など生活空間に近い場所、つまり“エッジ”で作られる」(堀田氏)。

さらにインテルの調べでは、2024年までに世界中のコアネットワークの80%以上が仮想化することも分かっている。こうしたソフトウェア・デファインド・ネットワーク(SDN)とエッジ中心の環境のために、同社は新たなCPU「インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーD2700」「インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーD1700」シリーズを開発。1世代前のIntel Xeon-Dと比べると、コア数や周波数は同じだが、エッジでの視覚処理における推論速度が最大2.4倍、5G UPFなどの複雑なネットワーク通信向けのワークロード処理で最大1.7倍、SD-WAN・SASE・IPSec処理など、セキュリティー・ワークロードで最大1.5倍の性能向上を実現している。

 

 


「Xeon-D2700」「Xeon-D1700」シリーズの概要

 

 

国内MNO×インテルが進める仮想化

インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーDシリーズは、楽天シンフォニーが開発を進める先進的なDU(Distributed Unit)「Symware」に採用されている。Symwareは、ネットワークのエッジにおいて多目的に活用できる通信機器だ。Symwareがコンテナ化された基地局のルーティング機能とコンテナ化された分散ユニット(cDU)を1つの汎用サーバープラットフォーム上に統合することで、MNOの設備投資や運用コストを大幅に削減できるという。また、ゼロタッチプロビジョニングやローリングアップデート、ネットワークを構成するすべての構成要素の遠隔監視と分析による自動化もサポートする。

 

 


楽天シンフォニーとの取り組み

 

また、インテルは「vRANへの移行を加速化」を戦略の1つに掲げており、すでに世界の大半のvRAN構築はインテルのテクノロジーを活用して実行されている。

 

 


インテルのテクノロジーを活用している世界の通信キャリア

インテルは、この戦略の一環としてドコモの5GオープンRANエコシステム(OREC)に参画。ORECでは、O-RAN仕様に準拠したマルチベンダー接続の仮想化基地局の検証環境を利用できる「シェアド・オープンラボ」を構築、2022年度の商用化を予定しており、インテルとしてすべてのサーバー基板でのCPU及び、vRANアクセラレーターカードがオンラインから利用できるようになると紹介した。

 

 


ORECの「シェアド・オープンラボ」で
インテルのアクセラレーターカードも利用可能

 

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