電子情報技術産業協会(JEITA)によれば、2020年時点で世界の5G市場は約8兆円だが、2030年には約170兆円まで拡大する見込みだ。通信事業者にとって大きなチャンスだが、「現状は通信事業者の多くが利益率の低下に頭を悩ませています」とServiceNow Japanの松田康典氏は分析する。
その背景にあるのが、ワークフローが複雑化し、マニュアル業務が増大していること。ヒューマンエラーによる事故が起こりやすくなり、非効率な運用が増える。ユーザー対応が後手に回り、問い合わせ対応が長時間化してしまう。その結果、顧客満足度も従業員満足度も下がってしまう。「通常業務に時間や人が取られてしまうので、新サービス投入にも時間がかかり、成長分野への参入が遅れ、企業としての成長も厳しくなります」と松田氏は指摘する。
松田氏は自身も通信業界に所属していたことから、このような現状に危機感を抱いていたという。そうした中で松田氏がほれ込んだのが、「Now Platform」だ(図表1)。
図表1 通信事業者のDX実現のための Platform of Platforms「Now Platform」の概要
Now Platformは各部門で個別に導入されているシステムやデータを統合・連携し、全体最適を図るPaaS。最大の特徴は組織横断型のワークフローが構築できること。「各システムが連携され、会話ができるようになり、シングルウィンドウですべてのシステムを見渡せるようになります」と松田氏は紹介する。これを可能にするのが、「インテグレーションハブ」である。業界団体TM Forumの定めるAPIに対応し、図表1の下部に示したシステムに留まらない、幅広いシステムや、通信事業者が利用するビジネス支援/運用管理システム(BSS/OSS)などと連携する。