F5が見据える「AI時代のアプリ配信&セキュリティ」、キャリアエッジ使う新提案も

「AIを活用するアプリが増える。バックエンドにあるAIモデルとアプリをどうつなぐか、AIと学習データをどうつなぐかという対応が必要になる」。F5ネットワークスジャパン(以下、F5ジャパン) カントリーマネージャーの木村正範氏は2025年5月20日に開催した記者説明会でこう話した。

企業におけるアプリケーション利用環境は、複雑化の一途を辿ってきた。業務アプリはオンプレミスと複数のクラウドへ分散し、アプリそのものもコンテナやマイクロサービス、APIを用いた開発手法が普及した結果、構造・種類が多様化している。そして、さらなる難題がAIだ。

この込み入った環境を「いかに簡単に管理するか」がAI時代の企業に課せられた課題であり、その解決策としてF5が推進するのが「ADC 3.0」だという。

F5ネットワークスジャパン カントリーマネージャーの木村正範氏

F5ネットワークスジャパン カントリーマネージャーの木村正範氏(左)と、CTO-ジャパンの丸瀬明彦氏

木村氏によれば、ADC 3.0とは、アプリケーションデリバリーとセキュリティの機能を包括的に提供するアプローチであり、「これができるのは業界でF5だけ」という。これを体現する様々なソリューションを、通信事業者らサービスプロバイダーとも連携して提供していく方針だ。

ADC 3.0プラットフォーム

「F5 ADC 3.0プラットフォーム」の概要

生成AI活用で「待てるのは1秒以内」

では、AI時代のアプリケーションデリバリーとセキュリティに求められる要件とは、具体的にどんなものか。CTO-ジャパンを務める丸瀬明彦氏はまず、生成AI活用における「反応速度」の重要性を指摘した。

例えば生成AIから質問の回答を得る場合、「人はAIに人間らしさ、つまり人間のような反応速度を求める」。2秒ほど反応がなければ“あれ? どうした?”となり、遅くなればなるほどストレスを感じるうえ、AIへの信頼感も損なわれてしまう。人間らしい反応として許容されるのは「1秒以内だ」(丸瀬氏)。

パブリッククラウド上で稼働するAIに依存していては、この1秒以内という条件を実現するのは難しい。そこでF5が提案するのが、通信事業者が運用するキャリアエッジ(通信局舎等)を活用したエッジAIソリューションである。

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