IoTのトラフィック膨張に挑戦 Pub/Subモデルの新提案

坂野遼平(ばんの・りょうへい)氏

工学院大学 坂野遼平准教授

いくつかの分野にまたがって研究をしていますが、現在、大きな割合を占めているのがIoTのネットワーク面での研究です。IoTのデータを活用するプログラムがどうやって情報をやりとりするかについての研究になります。

特に“Publish/Subscribeモデル”(以下Pub/Subモデルと略記)に着目しています。

Pub/Subモデルとは、IoT機器などが“パブリッシャー”として情報を“ブローカー”に送り、IoT機器の情報を必要とするアプリケーションなどはサブスクライバーとしてブローカーに登録し、情報を取得するモデルです(図表1)。

図表1 Pub/Subモデルの概要

このモデルでは、お互いが「疎結合」となり、送信側と受信側がお互いを把握する必要がないために、それぞれの実装が簡易になります。たとえば、パブリッシャーは、ブローカーとだけ通信を行いますが、サブスクライバーのアドレスなどを知る必要がありません。また、プロトコルが簡易で疎結合であるため、全体構成の変動に対応しやすいといったメリットがあり、特に今後爆発的に増えていくであろうIoTデバイスと、それらを処理するAIなどの処理機器を考えますと、大きな可能性があると考えています。

もう少し具体的には、大きく2つのアプローチで研究を行っています。1つは、Pub/Subモデルの分散処理です。ブローカーを複数使って処理を分散する方法を考えています。

もう1つは、ネットワーク内処理です。最近では、インターネットを構成するルーターなどのネットワーク機器が高機能になってきて、ネットワーク内での処理を行える「データプレーン・プログラマビリティ」と呼ばれる技術が利用可能になってきました。これを使えば、ネットワーク内で完結するような処理をネットワーク機器に任せてしまうことができます。

これによりブローカーや上位のネットワークの負荷を下げることができる、というのが私の1つの提案です。

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