「場所を指定するだけで、最寄りのAIドローンが駆け付ける」
KDDIスマートドローン 代表取締役社長の博野雅文氏は、同社が目指すドローンサービスの姿をこう表現した。
KDDIが2026年10月27~28日に開催した「KDDI SUMMIT 2026」で行われたパネルディスカッションで、博野氏はドローンを人手不足を補う「AI労働力」と位置付け、全国展開に向けた戦略を説明した。
パネルディスカッションには、日本郵便 郵便・物流業務部 執行役員の五味儀裕氏と、テレビ朝日 報道局次長兼ニュースセンター長の柳井隆史氏も登壇。MM総研 理事長の関口和一氏が進行役を務めた。

KDDIスマートドローンは現在、石川県を中心とする8都道府県に33カ所の常設ドローンポートを設置し、累計2万1000回を超える遠隔飛行を行っている。
このポートと機体、通信、遠隔運航を個別の企業や自治体がそれぞれ保有するのではなく、複数の利用者で共有するのがDaaS(Drone as a Service)だ。博野氏は、「サブスクリプション型にすることで、導入や運用の負担を軽減する」と説明した。
<h2″>平時はクマ、有事は豪雨 同じポートを使い回す
DaaSの狙いが表れているのが、平時と災害時で同じ設備を使う「フェーズフリー」の運用である。
北海道新十津川町では2026年9月から、役場屋上のポートを使ったクマのパトロールを実施している。普段は決められた経路を飛んで出没状況を確認し、クマが現れた際には緊急出動して初動対応を支える。定期巡回と緊急出動に同じポートと機体を使う、フェーズフリーの事例だ。
一方、石川県志賀町の事例が示すのは、フェーズフリーとは別の、常設による初動の速さである。
2026年8月に大雨が発生した際、KDDIスマートドローンは県と町から緊急要請を受け、役場屋上のポートから4日間で12回飛行。上空から道路や河川、農地の状況を撮影し、県庁へ映像を送ったという。
災害が発生してから機体や操縦者を現地へ運ぶのではなく、あらかじめ地域に設置した機体を遠隔で動かすことで、初動までの時間を短縮できる。

「常設ポートが地域にあるからこそ、有事にもすぐに動ける」と博野氏。将来的には国土をポートの網で覆い、遠隔運航によって約10分で現場へ到着できる体制を描く。約10分という時間は全国展開後の想定であり、現時点では33拠点から社会基盤化への足場を築いている段階だ。