NTT、NTT東日本、国立情報学研究所(NII)の3者は2025年12月18日、通信状況に応じた光伝送路の自動制御により、短時間で光波長パスの経路切替・追加を行う実証に成功したと発表した。
具体的には、NIIが開発した「IPコントローラー」と、NTTの「APN(オールフォトニクス・ネットワーク)コントローラー」を組み合わせることで、迂回に最適な光信号レートと波長を自動で設計・設定し、追加機器や波長リソースの事前確保を行うことなく、10分以内で迂回ルートを確保できる手法を実証した。
IPコントローラーは、複数のスイッチやルーターに対して「どのトラフィックをどの経路に流すか」指示・制御できる装置。APNコントローラーは、光伝送ネットワーク全体を一元制御できるシステムで、「迂回時や新規需要があった際に、最適なルート設計や波長設計を実施し、迂回路を自動開通できる」とNTTネットワークイノベーションセンタ 光トランスポートシステムプロジェクト 担当課長の小谷川喬氏は説明した。

今回の実証に至った背景には、自然災害の頻発・激甚化がある。大規模災害によって光ファイバーに断障害が発生した場合、あらかじめ準備した予備経路へ切り替える「プロテクション切替」が作動するが、「片系運用となり、ネットワークの信頼性が著しく低下する」と小谷川氏は指摘した。
また、予備経路への切替後も障害が長期化するリスクに備え、新たな迂回路を探索して切り替える「リストレーション切替」もあるが、「平常時には使用しない経路を用いるため、波長リソースや設備の事前準備、迂回路の伝送評価・選定などの工程を手動で実施しなければならない。迂回路の確保には数時間かかるケースもある」(同氏)という。“10分以内”で経路変更・追加を実現した今回の実証成果は、こうした課題の解決につながるものと言える。
