NTTドコモは2026年2月13日、量子コンピューティング基盤を活用した新たなネットワーク最適化手法「TA-List 最適化アルゴリズム」を開発し、同社が展開する基地局に商用導入したと発表した。
この手法を活用することで、スマホなどの端末が位置情報を知らせるために送信する「位置登録信号」と、電話やSMSなどの着信を端末へ通知する「ページング信号」を最小化・最適化。これらの信号を抑制することで無線リソースに余裕が生まれ、通信速度の改善が期待できるという。
また、ドコモが独自開発した量子コンピューティング基盤を用いることにより、ページング信号と位置登録信号の双方を最小化・最適化するための解を、短時間で導き出せるようになったとのことだ。
NTTドコモ R&D戦略部の福田修之氏によれば、携帯電話がネットワークに接続し、いつでも着信できる状態を維持するためには、「TA(トラッキングエリア)」「TA-List」と呼ばれる2つの概念が不可欠だ。
TAとは、複数の基地局で構成されるエリアの単位を指す。電話やSMSの着信時には、端末が最後に通信したTA内の基地局に対して一斉にページング信号を送信し、端末との接続を確立する。
TA-Listは複数のTAを束ねた、より広域のグループである。端末が最後の通信後に別のTAへ移動している場合、直前に属していたTAにページング信号を送っても端末は応答できない。そのため、TA-List内の全基地局にページング信号を再送し、端末からの応答を待つ仕組みとなっている。
また、端末がTA-Listの外へ移動した場合には、端末自らが位置登録信号を送信して新たなTA-Listへ移動したことを通知する。これにより、ネットワーク側が端末の所在を把握する。

ただ、こうした運用には課題もあると福田氏は指摘した。「TA-Listが狭すぎると大量の位置登録信号が発生し、逆に広すぎるとページング信号が増えすぎてしまう。ネットワーク負荷を抑えるためには、両信号を最小化・最適化することが必要になる」
そこでドコモは2024年6月、「TA 最適化アルゴリズム」を開発。端末の移動特性からTAの配置を最適化することでページング信号を最小化する技術だが、TA-List自体は変更できないため、位置登録信号の削減は実現できなかったという。そこで新たに開発したのが、「TA-List 最適化アルゴリズム」である。
