2026年10月15日、仏ヴェルサイユで開かれた第28回国際度量衡総会(CGPM)で、うるう秒を事実上廃止する決議が採択された。1972年から続いてきた「1秒を足す・引く」調整に、終止符が打たれることになる。
その直後の10月19日・20日、時刻同期を主題とするイベント「TimeSyncJapan 2026」が開催された。セイコーソリューションズ、古野電気、アット東京、IIJらが実行員会を構成し、情報通信研究機構(NICT)の共催により実施。テーマは「産官学連携による、次世代時刻同期基盤の社会実装に向けて」だ。
開会挨拶に立った総務省 国際戦略局 技術政策課長の扇慎太郎氏は、通信ネットワークや電力グリッドの制御、金融取引の決済システムがマイクロ秒・ナノ秒単位の時刻同期を前提に設計されていることを挙げ、「時刻はもはや時間を知るための情報だけではなく、社会インフラそのものを支える見えないライフラインになっている」と話した。

網内の時刻供給が乱れれば、通信品質の劣化やシステム障害、サービス停止を招きかねない。実際にそうした障害は世界各地で起きているという。扇氏は、標準時を所掌する総務省として、時刻を「電気、ガス、水道と並ぶ、絶え間なく供給されるべき重要インフラ」と捉えていると強調。時刻同期基盤の強靭化、研究開発支援、国際標準化への関与を続ける方針を示した。
さらに、高市政権の成長戦略が「官民投資」「勝ち筋」を掲げていることに触れ、「いよいよこのテーマ自体が、産官学一緒になって進めていくいい段階に入ってきた」とも語った。
続いて登壇したのは、実行委員会メンバーであるセイコーソリューションズ 戦略ネットワーク本部 営業統括部長の鈴木康平氏だ。

同氏によれば、本イベントの源流は、ネットワーク運用者の集まりであるJANOGの時刻同期BoFにあるという。そこに集まったメンバーが、2024年に東京で開かれた計測・制御・通信のための高精度クロック同期に関する国際シンポジウム「IEEE ISPCS 2024」のローカル運営を担った。2025年には、衛星による時刻同期を扱う「GNSS TimeSync 2025」も開催。今回はこれを、時刻同期全般のイベントへと広げた。
欧州のITSF、米国のWSTSのように、海外には時刻同期の専門イベントがある。鈴木氏は「日本では何でないのか」と考えたことが、開催につながったと振り返った。

目指すのは、時刻同期の専門家と、通信、データセンター/AI、金融、放送、電力といった利用現場をつなぐこと。そして、研究・標準化と日々の運用をつなぐことだ。
利用者・運用者、研究機関・標準化関係者、メーカー・事業者、行政がそれぞれの知見と課題を持ち寄り、共同検証と運用知識の発展につなげる。鈴木氏は「継続的な人をつなぎ合い、学び合う場にできれば」と話した。