ネットワークセキュリティ製品を提供するセキュアソフトは7月23日に記者発表会を開催し、新しいアプライアンス製品「SecureSoft Sniper ONE（セキュアソフト スナイパー ワン）」を8月3日から発売開始すると発表した。

Sniper ONEは3製品あり、価格はONE2000（左）が650万円～、ONE4000（中）が1200万円～、フラッグシップモデルのONE40G（右）が3200万円～。

ここ1年で急増している情報の漏洩・搾取が目的の標的型攻撃やサービス停止を狙ったDDoS攻撃などのサイバー攻撃を背景に、企業はネットワークやシステムを多層防御しなければならない環境になっていることを受け、Sniper ONEでは8つのネットワークセキュリティ機能を1台で実装できるのが特徴だという。それぞれの機能はオプションとして提供され、8つのオプションは自由に組み合わせることが可能だ。

8つの機能がライセンス方式で提供される

SniperONEはセキュアソフトが得意とするIPS技術を基盤としており、①ネットワークやサーバーへの不正侵入を阻止するIPSオプションや、②サーバーの負荷や通信量を増加させてサービス提供を不能にさせるDDoS攻撃を防ぐAnti-DDoSオプションが同製品の中核を担う。

他のオプションは、③DNSシステムを保護するためのDNSオプション、④DHCPシステムを保護するためのDHCPオプション、⑤高速処理を保ちながら正規表現によるシグニチャ作成が可能になるRegular Expressionオプション、⑥通信帯域を制御するRate Limitオプション、⑦HTTPSパケットの分析をするHTTPSオプション、⑧IP電話システムで利用されるSIPプロトコル向けのVoIPオプションだ。

なお、豊富な機能を搭載することと高い処理性能はトレードオフの関係にあるが、同製品ではセキュアソフトが独自開発した「D.O.P.処理方式」により、多機能と高速処理を両立させたという。

独自開発の「D.O.P.処理方式」では、収集されたパケットごとに最適な 分析エンジンだけに処理を展開することで高速処理を実現している

執行役員 技術本部長の神山竜二氏は、Sniper ONEはIPSやAnti-DDoSの機能を軸にしながら、「ネットワークセキュリティ分野で長年培ってきたノウハウを活かし、通信プロトコル専用の対策機能も盛り込んだ」 と語る。

例えば、③DNSオプションは近年、不正なDNS通信が増えてきていることから、企業やプロバイダー向けにDNSシステムを保護するために開発した機能だという。一般的にプロバイダー向けに加えられる攻撃では、攻撃者はボットネットから大量の不正なDNSクエリを投げる。この不正な通信をSniper ONEで見極め、不正なDNSクエリによる影響を最小限に抑える。

次に④DHCPオプションでは、DHCPの脆弱性を狙った攻撃からDHCPシステムを守る。専用ビューで通信が正常なものか異常なものかをリアルタイムで監視でき、特定の端末から不正な通信があればその端末の通信を防御することが可能だ。

④DHCPオプションでは、MACアドレス単位での通信制御が可能

「ここでポイントとなるのは、攻撃してくる端末がIPアドレスを持っていない状態でアクセスしてくること。一般的なIPSではIP通信をもとに防御するが、Sniper ONEでは長年のネットワークセキュリティで蓄積した技術によりMACアドレスで防御できる。これは他の製品にはない特徴」（神山氏）だと述べる。

そして、⑧VoIPオプションはSIPプロトコルを利用したIP電話システムを防御するための機能だ。通常のIPS/IDS製品ではSIPに対応している製品はほとんどないというが、このオプションは通話セッションの監視と専用ビューによる詳細な通信解析、通信の品質を確保するQoS機能によるSIPサーバーの保護、異常な制御トラフィックを検出する機能などを有している。

販売目標は今後3年間で50億円

代表取締役社長の姜昇旭氏は、「2011年度から13年度にかけて3年連続で日本国内のIPS市場でシェア1位を獲得した。今まではIPSを中心にビジネスを行ってきたが、これからは統合型のセキュリティソリューションを展開していきたい」と、これまでの実績と今後の抱負を語った。

また、常務執行役員の荻原博氏は、「Sniper ONEの売上目標は、今後3年間で50億円」と述べた。IPS製品の販売パートナーである富士通、日立、NEC、キヤノンの各グループとの協業を強化し、セキュリティの運用監視サービスやコンサルティングなどで販売促進を図るという。